社会保険同日得喪の適用対象範囲拡大による在職老齢年金への好影響

社保同日得喪の拡大による在職老齢年金への好影響 昨日のブログ記事「適用対象範囲が定年以外にも広がった社会保険の同日得喪」では、平成22年9月1日から行われることになっている社会保険同日得喪の新たな適用について取り上げましたが、この社会保険の同日得喪は、社会保険料額を抑制すると共に、在職老齢年金の支給停止額を少なくできる効果があります。本日はこの後者の視点で解説を加えることとしましょう。


 在職老齢年金の支給停止額は、標準報酬月額とその月以前1年間に支給された賞与額により計算されます。これまで定年退職に伴い報酬が下がる場合は、社会保険の同日得喪を行い、定年退職後の最初の月より標準報酬額が下がり支給停止額にもすぐに反映されていました。一方で、定年退職以外の場合の再雇用に伴い報酬が下がる場合は、社会保険の随時改定(月額変更)に該当するまで標準報酬月額が変わらず、再雇用後3ヶ月間は従前の標準報酬月額を用いて支給停止額を計算することになっていました。


 それが今回の通達で、定年退職以外に継続雇用された場合にも、同日得喪を行うことが認められ、すぐに標準報酬月額を見直すことができるようになったことは年金受給者にとっては大きなメリットとなるでしょう。この点に関する分かりやすい事例の図解が、厚生労働省・日本年金機構から出ております。以下よりダウンロードして是非ご覧下さい。
http://www.shakaihokenroumushi.jp/social/topics/2010/pdf/0708shokutaku.pdf



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2010年7月12日「適用対象範囲が定年以外にも広がった社会保険の同日得喪」
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参考リンク
法令等データベース「「嘱託として再雇用された者の被保険者資格の取扱いについて(通知)」の一部改正について(通知)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T100708S0020.pdf
全国社会保険労務士会連合会「退職後継続再雇用された方の標準報酬月額の決定方法の見直しについて」
http://www.shakaihokenroumushi.jp/social/topics/2010/pdf/0708shokutaku.pdf


(宮武貴美)

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