景気低迷で減少も依然として高水準にある賃金不払残業の労基署是正指導の状況

賃金不払残業の労基署是正指導の状況 未払い残業代請求問題が話題となっていますが、先日、東京労働局より平成21年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果が発表されました。本日はその内容について紹介しましょう。東京労働局は、平成21年4月から平成22年3月までの1年間(平成21年度)に管下、18労働基準監督署において、時間外・休日・深夜労働(残業)に対する割増賃金が適正に支払われていない企業1,863件に対し、労働基準法第37条違反としてその是正を勧告・指導しました。今回の調査はそのうち、支払われた金額が100万円以上になった企業の状況について取りまとめましたものとなります。


 景気の悪化により製造業を中心に多くの企業の生産が落ち込んだということも影響してか、対象企業数は116件(対前年比△42件)、対象労働者数は19,679人(同△44,223人)と大幅に減少したものの、1企業あたりの支払金額は2,602万円、労働者1名当たり支払金額は15万円と過去5年で最多となっています。業種で見ると、対象企業数の上位は商業28件、接客娯楽業17件、金融・広告業16件、対象労働者数の上位は、金融・広告業11,149人、接客娯楽業3,038人、商業2,050人、支払金額の上位は、接客娯楽業12億9770万円、金融広告業12億3396万円、保健衛生業1億6247万円となりました。1企業での最高支払額は、12億4206万円(接客娯楽業)、次いで11億561万円(金融広告業)と多額の遡及支払が行われたのも今年度の特徴として指摘できます。


 東京労働局は11月の「労働時間適正化キャンペーン」において、長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止とともに、賃金不払残業の解消に向けた労使の自主的な取組の促進を図るための周知・啓発活動を展開することとしています。この機会を利用していま一度、自社の賃金支払について不払残業がないかを確認し、リスクを把握してみてはいかがでしょうか?


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関連blog記事
2010年10月25日「監督署是正指導による未払い残業代の支払いが大幅減」
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2010年3月26日「4月1日に改正される労働時間等見直しガイドラインのポイント」
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2009年10月26日「平成20年度のサービス残業是正支払額は1,553社で196億円」
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参考リンク
東京労働局「東京労働局:都内116企業が30億円を遡及払」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2010/20101021-hubarai/20101021-hubarai.pdf


(中島敏雄)


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