労政審に行われた「有期労働契約法制」諮問のポイント

有期労働契約法制諮問 今週水曜日、厚生労働省は注目の有期労働契約法制に関し、労働政策審議会に諮問を行いました。以下ではそのポイントについて取り上げましょう。

 今回の諮問は2011年12月27日のブログ記事「有期労働契約5年で無期労働契約に転換されること等が検討される有期労働契約の在り方」で取り上げた、昨年12月26日に同審議会からなされた建議「有期労働契約の在り方について」の内容を踏ま、以下のような内容となっています。
有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みを導入する。その際の労働条件は、別段の定めがない限り、従前と同一のものとする。なお、契約と契約の間に6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。

「雇止め法理」の法定化
 雇止め法理を制定法化し、以下の場合において客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない雇止めについては、当該契約が更新されたものとして扱う。
(1)有期労働契約があたかも無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合
(2)労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合

期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
 有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

 この中では当然、がもっとも注目されるところでありますが、については建議から更に踏み込んで以下のような表現がされており、実務への一定の影響が考えられます。
「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとすること。」

 このように同一価値労働同一賃金の考え方が盛り込まれており、その内容によっては企業の労働条件の設定に大きな影響を与える可能性が感じられます。今回の有期労働契約法制は近年の法改正の中でももっとも重要なものですので、当ブログでは今後も随時、このテーマについて取り上げていきます。


関連blog記事
2011年12月27日「有期労働契約5年で無期労働契約に転換されること等が検討される有期労働契約の在り方」
https://roumu.com
/archives/51899783.html

2011年9月27日「厚労省から公表された今後のパートタイム労働対策の報告書」
https://roumu.com
/archives/51874543.html

参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会に対する「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」の諮問について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023yqs.html

(大津章敬

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