3月1日よりスイス・ブラジルが加わり社会保障協定の対象国は14ヶ国に

社会保障協定 経済のグローバル化が進展し、企業から派遣されて海外で働くことや、将来を海外で生活される人が年々増加しています。海外で働く場合は、原則として働いている国の社会保障制度に加入をする必要があり、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。また、日本や海外の年金を受け取るためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、保険料の掛け捨てになってしまうことが以前から問題となっていました。

 そこで、①「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)、②保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする(年金加入期間の通算)という2つの目的のために、現在、諸外国と社会保険協定の締結が進められています。

 2012年3月1日には新たにスイスおよびブラジルとの協定が発効し、現在では、以下の14ヶ国との社会保障協定が発効しています(画像はスイス・ブラジル追加前のもの)。
協定を結んでいる国
 ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス
※イギリスおよび韓国については、期間通算制度の適用はありません。
※ドイツは派遣開始後60暦月目の月末まで、その他の相手国は派遣開始から5年目までが当初派遣期間として認められる。相手国により派遣の延長ができる場合がある。
発効準備中
 イタリア

 現在、多くの企業が海外に進出し、従業員を派遣していますが、協定が発効している国に一時的に派遣され就労する場合の手続きについて見ておきましょう。一時的に日本から協定相手国に派遣され就労する人が、協定相手国の社会保障制度への加入が免除されるためには、日本の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を受ける必要があります。具体的な手続きは、以下の通りです:
1)事業主は年金事務所に適用証明書交付申請書を提出する。
2)審査の結果、申請が認められた場合には、適用証明書が交付される。
3)派遣された被保険者は、協定相手国内の事業所に適用証明書を提出する。協定相手国の規定により相手国実施機関に提示または提出を求められたとき、また協定相手国の社会保障制度に加入していない理由を尋ねられたときには、証明書を提示または提出する。
4)2)の過程において、申請が認められなかった場合には、協定相手国の社会保障制度に加入することとなる。

 また当初の一時派遣期間の予定を延長して協定相手国で就労する必要が生じた場合は、事業主が年金事務所に適用証明書期間継続・延長申請書を提出する必要があります。審査の結果、延長申請が認められた場合には、新しい適用証明書が交付されます。

 詳細な手続き方法など、社会保障協定の情報については、以下の日本年金機構サイトで確認することができますので、是非ご覧ください。
http://www.nenkin.go.jp/agreement/index.html


関連blog記事
2012年3月6日「スイスの年金制度に加入したことのある皆さまへ」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51179054.html
2012年1月9日「中国人事管理の先を読む!第27回「日中社会保険協定交渉と徴収執行の猶予」」
https://roumu.com
/archives/51901891.html

2011年12月17日「2012年3月にスイスとの社会保障協定が発効」
https://roumu.com
/archives/51896837.html

2011年12月9日「2012年3月にブラジルとの社会保障協定が発効」
https://roumu.com
/archives/51895442.html

参考リンク
日本年金機構「社会保障協定」
http://www.nenkin.go.jp/agreement/index.html
日本年金機構「社会保障協定に関するご質問(Q&A)」
http://www.nenkin.go.jp/question/index.html#qa33
厚生労働省「海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/shakaihoshou.html

(大津章敬

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