厚労省円卓会議による「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」のポイント
厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」は昨日、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を取りまとめ、公表しました。本日はその中から、職場のパワーハラスメントをなくすためポイントについて取り上げましょう。
⑴ 企業や労働組合、そして一人ひとりの取組
職場のパワーハラスメントをなくしていくために、企業や労働組合は、職場のパワーハラスメントの概念・行為類型や、ワーキング・グループ報告が示した取組例を参考に取り組んでいくとともに、組織の取組が形だけのものにならないよう、職場の一人ひとりにも、それぞれの立場から取り組むことを求めたい。
⑵ それぞれの立場から取り組んでいただきたいこと
○トップマネジメントへの期待
組織のトップマネジメントの立場にある方には、職場のパワーハラスメントは組織の活力を削ぐものであることを意識し、こうした問題が生じない組織文化を育てていくことを求めたい。そのためには、自らが範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの取組を行うべきである。
○上司への期待
上司の立場にある方には、自らがパワーハラスメントをしないことはもちろん、部下にもさせないように職場を管理することを求めたい。ただし、上司には、自らの権限を発揮し、職場をまとめ、人材を育成していく役割があり、必要な指導を適正に行うことまでためらってはならない。また、職場でパワーハラスメントが起こってしまった場合には、その解決に取り組むべきである。
○職場の一人ひとりへの期待
人格尊重、コミュニケーション、互いの支え合い・人格尊重:職場のパワーハラスメント対策の本質は、職場の一人ひとりが、自分も相手も、等しく、不当に傷つけられてはならない尊厳や人格を持った存在であることを認識した上で、それぞれの価値観、立場、能力などといった違いを認めて、互いを受け止め、その人格を尊重し合うことにある。
・コミュニケーション:互いの人格の尊重は、上司と部下や同僚の間で、理解し協力し合う適切なコミュニケーションを形成する努力を通じて実現できるものである。そのため、職場のパワーハラスメント対策は、コミュニケーションを抑制するものであってはならない。
職場の一人ひとりが、こうしたコミュニケーションを適切に、そして積極的に行うことがパワーハラスメントの予防につながる。例えば、上司は、指導や注意は「事柄」を中心に行い「人格」攻撃に陥らないようにする。部下は、仕事の進め方をめぐって疑問や戸惑いを感じることがあればそうした気持ちを適切に伝える。それらの必要な心構えを身につけることを期待したい。
・互いの支え合い:職場の一人ひとりが、職場のパワーハラスメントを見過ごさずに向き合い、こうした行為を受けた人を孤立させずに声をかけ合うなど、互いに支え合うことが重要である。
⑶ 政府や関係団体に期待すること
国や労使の団体は、当会議の提言及びワーキング・グループ報告を周知し、広く対策が行われるよう支援することを期待する。
また今回の提言では別紙で2012年2月2日のブログ記事「厚生労働省ワーキンググループがまとめた職場のパワーハラスメントの定義と対策」で取り上げたパワハラの定義と行為類型もまとめられています。厚生労働省では、今回の提言に基づき、平成24年度から職場のパワーハラスメントの実態を把握するための調査研究および予防・解決に向けた社会的気運を醸成するための周知・広報を実施する予定をしています。
関連blog記事
2012年3月6日「厚労省発表資料に見るパワーハラスメントの具体的対策」
https://roumu.com
/archives/51915658.html
2012年2月2日「厚生労働省ワーキンググループがまとめた職場のパワーハラスメントの定義と対策」
https://roumu.com
/archives/51908257.html
参考リンク
厚生労働省「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370.html
(大津章敬)
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