有期労働契約にかかる労働契約法改正法律案要綱 概ね妥当との答申

有期労働契約法制 厚生労働省の労働政策審議会は先週金曜日、諮問を受けていた「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」を「おおむね妥当」として、小宮山洋子厚生労働大臣に答申しました。この法律案要綱は、昨年12月26日同審議会の建議「有期労働契約の在り方について」に基づいたもので、2月29日に厚生労働大臣から同審議会に諮問していたものです。以下では今回の法律案要綱のポイントについて確認しておきましょう。

有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みを導入する。但し、原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。また無期労働契約に転換する際の労働条件は別段の定めがない限り、従前と同一のものとする。

「雇止め法理」の法定化
 雇止め法理(判例法理)(※)を制定法化する。
※有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、解雇権濫用法理を類推して、雇止めを制限する法理。

期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
 有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとする。

 厚生労働省では、この答申を踏まえ、開会中の通常国会に改正法案を提出する予定となっています。全労働者の35%が非正規労働者とされる現代においては非常に影響が大きな法改正となっていますので、当ブログでは今後もこの法律の動向について注視していきます。


4月18日に名古屋で労働契約法も含む法改正セミナーを開催
 今回の有期労働契約法制や高年齢者法など、今後の法改正の内容とその実務への影響を解説するセミナーを4月18日に名古屋で開催します。こちらにも是非ご参加をお待ちしています。

人事労務担当者が一足先に知っておきたい
今後予定される人事労務関係法改正の動向と企業に求められる実務対応
講師:名南社会保険労務士法人 栄事務所代表 大津章敬
(1)継続審議となった労働者派遣法の内容とその影響
(2)労働者保護法制の大本命「有期労働契約法制」の内容と求められる対応
(3)希望者全員65歳までの継続雇用義務化の方向にある高齢者雇用問題
(4)パートタイマーへの社会保険適用拡大の方向性とその影響
(5)精神疾患にかかる労災認定基準の見直しの影響
(6)深刻化するパワハラ・職場のいじめへの対応強化
(7)7月に全企業に適用される育児短時間勤務制度・所定外労働免除の内容
(8)月間60時間超の残業に対する割増率50%の中小企業への適用はどうなるか
(9)環境変化により不可避となりつつある営業職の労働時間問題の対応
 
[開催概要]
日時:平成24年4月18日(水)午後2時~午後4時30分
会場:ウインクあいち 903号室(名古屋駅)
講師:名南社会保険労務士法人 栄事務所代表 大津章敬
受講料:8,400円(税込)
※名南コンサルティングネットワーク顧問先様およびMBC特別会員様は2名様まで無料でご招待
対 象:企業の経営者および人事労務担当者のみなさま
※基本は一般企業のみなさま対象のセミナーですが、社労士など専門家のみなさまもご参加いただけます。

[詳細およびお申込み]
 セミナーの詳細およびお申し込みはこちら。
https://www.roumu.com/seminar/seminar20120313.html


関連blog記事
2012年3月2日「労政審に行われた「有期労働契約法制」諮問のポイント」
https://roumu.com
/archives/51914583.html

2011年12月27日「有期労働契約5年で無期労働契約に転換されること等が検討される有期労働契約の在り方」
https://roumu.com
/archives/51899783.html

参考リンク
厚生労働省「「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」の答申について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025bjf.html

(大津章敬

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