4月1日に改正され、利用しやすくなった中小企業定年引上げ等奨励金の概要
年金と雇用の確実な接続を目指し、改正高年齢者法案が現在、国会で審議されています。この改正法では従来の基準制度を原則廃止し、希望者全員の65歳までの継続雇用が求められていますが、こうした高齢者の雇用拡大を促進するため、様々な助成金制度が創設されています。本日はそうした中から、平成24年4月1日に改正された中小企業定年引上げ等奨励金について取り上げたいと思います。
そもそもこの助成金は、希望者全員が少なくとも65歳まで安心して働ける雇用基盤を早期に整備するとともに「70歳まで働ける企業」の普及を図るためのものであり、65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止または70歳以上までの継続雇用制度の導入を行う中小企業事業主に対して奨励金が支給されるという制度です。支給対象事業主は次のいずれかの措置を講じている中小企業事業主(雇用保険の被保険者数が300人以下の事業主)であり、導入した制度と企業規模によりその支給額が定められています(支給額は画像をクリックして確認)。
65歳以上への定年の引上げ
定年の定めの廃止
希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入
希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満までの継続雇用制度と同時に労使協定等に基づく基準該当者を70歳以上まで継続雇用する制度の導入
※高年齢者の勤務時間を多様化する制度を導入する事業主に対しては、一律20万円が加算されることになっています。
今回の改正では、「希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満の継続雇用制度」の導入により奨励金を申請する場合には、同時に基準該当者を70歳以上まで継続雇用する制度を導入すること、64歳以上の雇用保険被保険者を雇用していることが必要になり、支給要件が厳しくなりました。しかし、一方ではこれまで制度導入後6ヶ月経過していることという要件が設けられ、制度導入から助成金受給まで相当の期間を要することになっていましたが、今後はこの要件が撤廃され、制度導入後、直ちに助成金の申請ができるようになりました。これに併せて、平成23年度分においても10月1日から3月31日の間に制度を導入した場合でも6ヶ月の運用期間を経ず申請できるようになっています。
企業によっては実質的に65歳定年と同様の状況になっている場合も少なくありません。助成金受給の機会損失がないよう、助成金の詳細について確認されることをお勧めします。
関連blog記事
2012年3月12日「改正高年齢者法案 平成37年3月31日まで設けられる基準制度経過措置の内容」
https://roumu.com
/archives/51916575.html
2012年2月27日「労働政策審議会 平成25年4月改正に向け、改正高年齢者法案要綱を了承」
https://roumu.com
/archives/51913780.html
参考リンク
高齢・障害・求職者雇用支援機構「平成24年4月1日から高齢者助成金の取扱いが一部改正されました。」
http://www.jeed.or.jp/elderly/employer/subsidy/subsidy_kaisei_120401.html
(宮武貴美)
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