改正高年齢者法において継続雇用から除外できる者を定めた指針が公開

高齢者法指針 来年4月に施行される改正高年齢者雇用安定法ですが、先週金曜日に今回の改正にかかる政省令および指針が公開されました。これらの中でもっとも注目されているものが、業務の遂行に堪えない人等を継続雇用の対象から除外できることについて記載のある「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」です。そこで今回はこの指針の中から、継続雇用の対象から除外する定めについて確認しておきましょう。

 指針においては、この部分について以下のように記述されています。
「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。なお、解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第78号。以下「改正法」という。)の趣旨を没却するおそれがあることに留意する。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。」

 したがって、定年を65歳未満にする企業において、就業規則の規定は以下のように整備を進めることになるでしょう。
定年は60歳等、現行のままの規定とする。
希望者全員を原則として65歳まで継続雇用する。
ただし、就業規則の退職・解雇事由に該当する者については継続雇用しない。

 更に経過措置として設けられた継続雇用者の選定基準を盛り込む場合には以下を含めることになります。
老齢年金を受給できる生年月日に該当した後は選定基準に従い継続雇用の可否を決定する。

 なお、これらの内容は指針にある通り、労使協定での締結も可能です。65歳未満の定年を定めている企業では、人事制度も含めた対応方法を検討のうえ、来年3月末までに就業規則の変更を行いましょう。
関連blog記事
2012年10月22日「65歳以上まで働くことのできる企業割合と定年到達者の動向」
https://roumu.com
/archives/51959290.html

2012年10月9日「改正高年齢者法の継続雇用しない労働者の範囲等に関する指針案概要が発表に」
https://roumu.com
/archives/51956345.html

2012年9月29日「改正高年齢者雇用安定法のリーフレット ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/51955291.html

2012年9月6日「改正高年齢者雇用安定法が公布」
https://roumu.com
/archives/51951536.html

2012年8月30日「改正高年齢者雇用安定法成立 2013年4月1日に施行」
https://roumu.com
/archives/51950333.html

参考リンク
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。