中国人事管理の先を読む!第64回「ベースアップと昇給(3)」
昇給には「ベースアップ」と狭義の「昇給」とがあるというお話をしてまいりましたが、今回は具体的なベースアップの方法について説明したいと思います。
ベースアップというのは「底上げ」です。つまり賃金全体の底上げを行うということです。底上げですから、社員個々の評価は反映されません。能力の高い社員もパフォーマンスの低い社員も「一律に」賃金の底上げを行います。例えば、昇給予算が10%確保されていたとします。このうちどの程度の予算をベースアップとして使うのでしょう?
ベースアップは通常インフレ率を用います。ここでは物価上昇率(CPT)をベースアップの指標として使うのがよいでしょう。中国は数年前、7%台の高いインフレを経験しましたが、現在は3%程度で安定しています。この物価上昇3%がベースアップの目安となります。ベースアップには「定率」で行う方法と「定額」で行う方法の2通りがあります。「定率ベア」は社員の賃金に3%を乗ずる方法で、「定額ベア」は社員の賃金に一定額を上乗せする方法です。どちらの方法がベースアップとして相応しいのでしょう?前述の物価上昇率を参考に「定率ベア」を行うと、社員の賃金に一律3%を乗じますので、賃金が相対的に高い社員はベアによりさらに賃金が上昇します。その結果、賃金の高い社員と低い社員との賃金差はどんどん乖離していきます。これに比べ「定額ベア」であれば賃金差はあまり大きくはありません。これらのことを考えますと、一般的には「定額ベア」が望ましいということが分かります。
物価上昇分を3%として「定額ベア」を行う場合、まず社員の賃金の総和を計算します。次にその総額に3%を乗じますと3%ベースアップしただけの賃金上昇分が出てきます。この金額がベースアップ分の予算ということになります。この金額を社員の人数で割れば、ひとり当たりの「定額」のベースアップ金額が計算されます。この金額を社員の現在の賃金に加算することにより、賃金のベースアップが行われたということになります。
一般的にはこの作業を「賃金テーブル」に加える、つまり賃金テーブルの書き換えによって行います。昇給全体の予算を10%としていましたので、このベースアップに使った予算以外が「狭義の昇給」、つまり社員個々の評価に応じて配分を行い、これらの手順によって昇給全体の手続きが終了します。
関連blog記事
2013年7月27日「中国人事管理の先を読む!第63回「ベースアップと昇給(2)」」
https://roumu.com
/archives/52001593.html
2013年6月29日「中国人事管理の先を読む!第62回「ベースアップと昇給(1)」」
https://roumu.com
/archives/51998491.html
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
http://blog.livedoor.jp/kiyoharamanabu/
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