ブラック企業対策の監督指導は82.0%が法令違反という結果に

black 厚生労働省は今年9月、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点的な監督指導を実施しました。いわゆるブラック企業対策ということで、注目を浴びた監督指導ですが、昨日、この結果を発表しています。それによれば重点監督を実施した事業場は、5,111にのぼり、そのうち4,189事業場(全体の82.0%)に何らかの労働基準関係法令違反があったとのことです。

 そのうち、違法な時間外労働があったものが2,241事業場(43.8%)、賃金不払残業があったものが1,221事業場(23.9%)と多くを占めています。その中の違反・問題等の主な事例としては以下のようなものが挙げられています。
・長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も月80時間を超える時間外労働が認められた事例
・社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった事例
・営業成績等により、基本給を減額していた事例
・月100時間を超える時間外労働が行われていたにも関わらず、健康確保措置が講じられていなかった事例
・無料電話相談を契機とする監督指導時に、36協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行われていた事例
・労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定していた事例
・賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導したが、是正されない事例

 これらの違反・問題等が認められた事業場に対しては、是正勧告書等が交付され、是正に向けた指導が行われています。また、是正がされていない事業場については、引き続き、是正の確認が行われることになっており、それでもなお、法違反が是正されない事業場については、送検も視野に入れた対応が行われるとのことです。

 結果の中には、時間外・休日労働時間が最長の者の実績もありますが、1,230事業場で1ヶ月80時間を超えており、そのうち730事業場で1ヶ月100時間を超えていたという数値が示されており、多くの事業場が長時間労働の課題を抱えているかがよくわかります。長時間労働にならざるを得ない状況がある企業はその理由を分析し、適切な対応をしていくことが求められます。来年度はこの使い捨て企業への取り締まりが強化されるという話も聞かれていますので、いま一度自社の労務管理に問題がないか、チェックを行っておきたいものです。


関連blog記事
2013年9月4日「サービス残業に対する相談が第1位に~若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する無料電話相談」
https://roumu.com
/archives/52007660.html

2013年8月9日「厚生労働省が強化する若者の「使い捨て」が疑われる企業等へ重点的な監督指導」
https://roumu.com
/archives/52004240.html

参考リンク
厚生労働省「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000032425.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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