更に迅速化が求められる精神障害の労災認定手続き

労災 先日、厚生労働省労働基準局労災補償部長より都道府県労働局長宛に「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」という通達が発出されました。この通達では、平成26年度の労災補償業務の運営にあたって特に留意する点を伝えるために発出されたものであり、石綿関連疾病の処理に関することや、労災請求事案の調査実施に関することなど多岐に亘って記載されている通達です。その中でも近年、注目されている精神障害の労災認定について確認しておきましょう。

 精神障害の労災認定については、2011年年末に認定基準が見直され、迅速な処理が進められるようになっているようです。しかしながら、まだ6ヶ月を超える事案もあることから通達では「引き続き、請求人聴取等の初動調査を迅速に行うほか、調査計画の作成時においては、決定に至るまでに必要となる調査事項を的確に洗い出した上で、調査事項ごとに適当な実施時期を定めた実効ある調査計画を作成するなど、決定時期を意識した調査の実施に努めること」、また「調査計画の作成時から早期の決定が見込まれる事案については、決定に至るまでに真に必要となる処理期間を設定することとし、漫然と決定時期を請求書受付の6ヶ月後等としないこと」としており、更なる迅速化を求めるものとなっています。

 その他、「脳・心臓疾患事案又は精神障害事案については、労災請求がなされた段階において、速やかに監督・安全衛生担当部署へ情報提供を行うよう徹底すること。また、精神障害事案については、上記に該当する事案も含めすべての認定事案について、安全衛生担当部署への情報提供を行うこと」ともしており、労働基準監督署内の部署を超えた取り組みが加速すると思われます。

 企業としては、まずは長時間労働を防止するほか、ハラスメントが原因で精神障害が発症することのないようにしなければなりません。また、仮に発生した場合には、調査に協力することで迅速な対応が求められることになります。


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2012年6月18日「3年連続で過去最高を更新した精神障害の労災請求 新通達の影響はこれから」
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2012年4月25日「精神障害労災認定の新通達を解説した最新リーフレットが公開」
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2011年12月28日「精神障害の労災認定基準が遂に見直されました」
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参考リンク
法令等データベース「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について(平成26年2月4日基労発0204第1号)」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140206K0010.pdf

(宮武貴美)

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