労政審報告書骨子案に見る年次有給休暇取得義務化の方向性

休暇 昨日のブログ記事「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」では、先週金曜日に開催された第122回労働政策審議会労働条件分科会において公表された「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)」の中から、ホワイトカラーエグゼンプション(特定高度専門業務・成果型労働制)の骨子について取り上げました。本日はこれに引き続き、実務上の影響が非常に大きくなることが予想される年次有給休暇の取得義務化について取り上げましょう。 昨年10月に日本経済新聞一面に「有休消化、企業に義務付け 長時間労働を是正」という記事が掲載され、大きな注目を集めたこのテーマですが、今回の報告書骨子案では以下のような記載がなされています。
年次有給休暇の取得率が低迷している実態を踏まえ、年次有給休暇の取得が確実に進むよう、年●日間の年次有給休暇の時季指定を使用者に義務付けることが適当。
具体的には、労働基準法において、計画的付与の規定とは別に、有給休暇の日数のうち年●日については、使用者が時季指定しなければならないことを規定することが適当。
ただし、①年●日間以上の年次有給休暇の計画的付与を行っている場合、②当該年に新たに発生した年次有給休暇の▲割以上の日数を取得した場合、使用者は上記の義務を果たさなくてよいものとして取り扱うことが適当。
なお、使用者は上記の時季指定を行うに当たっては、①年休権を有する労働者に対して時季に関する意見を速やかに聴くよう努めなければならないこと、②時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないことを省令に規定することが適当。

 この資料からは具体的に何日の時季指定が必要になるかは明らかにされておりませんが、当日の会議の中では「3日」という数字が出ていたということです。年次有給休暇については、人によって取得率に大きなバラつきがあり、ほとんど取得していない従業員も少なくないこと、(法的には問題ですが)パートタイマーなどに事実上、年休の付与を行っていない事業所が存在するなど様々な課題があります。こうした課題については、今回の取得義務化で炙り出されてくることでしょう。あとは現実にこの時季指定を行わない事業主に対して、年休買取など事実上のペナルティーが科せられるのかなど追加の情報を待ちたいところです。


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2015年1月19日「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」
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2015年1月18日「注目の労働時間法制改革の報告書骨子案が公開されました」
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2014年11月14日「年次有給休暇 取得義務化の場合の「一定日数」の水準はどうなるか?」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/41275450.html
2014年10月3日「内閣府が目論む来年9月の9連休と年次有給休暇の取得促進」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/40478549.html

参考リンク
厚生労働省「第122回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000071225.html

(大津章敬)

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