今後注目の職場の介護問題 介護経験者が実際に求める環境整備の内容

介護離職 一億総活躍社会の実現に向けた介護離職ゼロという方針は今後、企業の人事労務管理において大きな影響を与えることになります。今週から審議に入った雇用保険法等の一部を改正する法律案の中では、来年1月からの介護休業制度の拡充なども盛り込まれており、今後、その対応が大きなテーマとなることは確実な状勢です。

 それでは実際に介護を抱える労働者はどのような施策・環境を望んでいるのでしょうか?本日は日本能率協会の「第6回「ビジネスパーソン1000人調査」【仕事と介護編】」の中から、仕事と介護の両立のために職場に求めることを見ていきたいと思います。なお、この調査は、日本能率協会総合研究所「JMAR リサーチモニター」のうち全国の20歳~69 歳までの正規・非正規雇用の就業者1,000人を対象に実施されたものです。これによれば、介護経験がある者が介護離職防止のために職場にあるとよいと思うことは以下のとおりとなっています。
1位 介護する社員に理解がある社風 40.2%
2位 上司・同僚の理解
2位 フレックスタイム制 34.4%
4位 介護休暇制度 33.5%
5位 短時間勤務制度 30.6%
6位 残業がない定時退社の推奨 26.8%
7位 会社から支給される介護手当 26.3%
8位 在宅勤務制度 24.9%
9位 介護期間中の業務変更 22.0%
10位 会社からの介護施設・サービスの斡旋 13.9%

 法改正で議論されている様々な制度が並んでいますが、それらを押さえて上位にあるのが、「介護する社員に理解がある社風」や「上司・同僚の理解」という社員の意識や社風の問題です。たぶんこれらの前提がなければ、いくら所定外労働の免除制度を作ったところで、それが介護離職防止に繋がるとは言えないでしょう。

 今後、団塊の世代の高齢化や共働き世帯の増加、生涯未婚率の上昇などから、介護の問題は急速に大きくなっていくはずです。戦力である従業員が介護問題で離職せず、仕事を続けることができる環境を構築することは企業の競争力の差にもなっていくことでしょう。そろそろ真剣な議論が必要な時期になってきました。


関連blog記事
2016年2月2日「雇用保険料率引下げや介護休業給付率引上げが盛り込まれた雇用保険法等改正 国会提出」
https://roumu.com
/archives/52096104.html

2015年12月8日「介護離職ゼロに向けた労働政策審議会の介護休業制度改革案」
https://roumu.com
/archives/52091570.html

参考リンク
日本能率協会「第6回「ビジネスパーソン1000人調査」【仕事と介護編】」
http://www.jma.or.jp/news/release_detail.html?id=385

(大津章敬)

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