介護離職ゼロに向けた労働政策審議会の介護休業制度改革案
今後、介護は大きな社会的問題となっていくことが確実な状勢にあります。そのため、現政権も「新・三本の矢」の第三の矢「安心につながる社会保障」において、介護離職ゼロを掲げています。この大方針を置けて、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会では、育児・介護休業制度の見直しについての議論を進めていますが、2015年12月7日に開催された第166回分科会では、「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」の案が示されました。本日はこのうち、介護に関する措置の案について見ていきましょう。
今回の介護休業制度改革案のポイントをまとめると以下のようになります。
介護休業制度は通算93日の日数は維持するも、3回の分割取得を認める。
介護休業を取得できる対象家族について、祖父母、兄弟姉妹および孫について同居・扶養要件を外す。
介護休暇については、半日(所定労働時間の2分の1)単位の取得を可能(労使協定による適用除外制度あり)とする。
介護のための所定労働時間の短縮措置等については、以下のいずれかの選択的措置を取らなければいけないが、利用を申し出たときから3年以上の期間措置とし、3年以上の間で少なくとも2回以上の申し出を可能とする。
(1)短時間勤務制度
(2)フレックスタイム制度
(3)始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ
(4)介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度
介護終了までの期間について所定外労働の免除を認める。
まだまだ案の段階とは言え、育児と異なり終わりが見えない介護だけに、⑤などは企業にとってかなりの負担となる可能性もあります。介護による離職防止は人材不足が進む中で、国だけでなく、企業においても重要なテーマだけに、今後の議論にも注目しておきたいところです。
関連blog記事
2015年12月3日「分割取得・休業給付率引上げが検討される介護休業」
https://roumu.com
/archives/52090985.html
2015年11月30日「首相官邸がまとめた「一億総活躍社会対策」の中で見られる人事労務環境整備の内容」
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2015年11月18日「休業分割取得・雇用保険の給付率アップなど見直し検討が進む介護休業制度」
https://roumu.com
/archives/52089902.html
参考リンク
厚生労働省「第166回労働政策審議会雇用均等分科会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106338.html
(大津章敬)
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