ストレスチェックが終了したら労基署へ報告が必要ですか?

 今日はストレスチェック制度の説明の最終回。服部印刷では社長、宮田部長、福島さんの3名が揃って大熊を待っていた。
前回のブログ記事はこちら
2015年7月27日「ストレスチェックを受ける従業員の範囲とは?」
https://roumu.com/archives/65714890.html
2015年7月20日「ストレスチェックはどのように進めるのですか?」
https://roumu.com/archives/65714364.html
2015年7月13日「ストレスチェックにかかる費用や時間に対する賃金の支払いはどうなりますか?」
https://roumu.com/archives/65712850.html
2015年7月6日「ストレスチェックの概要を復習しましょう」
https://roumu.com/archives/65712828.html
2015年6月29日「ストレスチェックを実施すると助成金が支給されるのですか?」
https://roumu.com/archives/65712284.html


福島照美福島さん:
 大熊先生、今日はストレスチェックの関係で、労働基準監督署への報告等について教えていただけるのでしたよね?
大熊社労士:
 そうですね。何か気になっていることでもあるのですか?
福島さん:
 いえ、今回のストレスチェックについては健康診断と比較して話されることが多くあったため、結果の報告についても必要なのだろうな、と思っていたのです。
大熊社労士大熊社労士:
 なるほど。いつも先回りして考えていただき、ありがとうございます。福島さんのお考えの通り、実施状況報告を所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
宮田部長:
 また、提出する書類が増えるということですね。ふぅ。
ストレスチェック大熊社労士:
 そうですね。特に1年に1回、実施が義務付けられたわけですので、毎年提出する書類となります。具体的には、様式6号の2で「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」になります。様式も既に公表されています。
福島さん:
 その様式には、どのようなことを記載するのですか?
大熊社労士:
 はい。実施した年月や、在籍労働者数、検査を実施した人、検査を受けた労働者数、面接指導を実施した人、面接指導を受けた労働者数等があります。
福島さん:
 大熊先生、その在籍労働者数というのは、全従業員数なのですか?それともストレスチェックを受けるべき人の数なのですか?
大熊社労士:
 常時使用する労働者数を記載することになりますので、後者のストレスチェックを受けるべき人の数ですね。
福島さん:
 そうですか・・・となると、もし、受けたくないという人が多く出てくると、ストレスチェックを受けた人がかなり少ないという報告をすることになるのですね。
宮田部長宮田部長:
 え!それってまずくない?監督署に「うちはストレスチェックに力を入れていませんよ~」ってことを言っているようなものじゃない~。なんだか、調査とかの対象になっちゃいそうですよね。
大熊社労士:
 なるほど、確かにストレスチェックの受検率というのはすぐにはじき出せることにはなります。ただ、報告のそもそもの目的がストレスチェック制度の実施状況を労働基準監督署が把握するためですし、従業員の皆さんに検査を受ける義務がないので、受検率が低いことのみで調査の対象になったりすることは考えられません。
宮田部長:
 それであればホッとしました。
大熊社労士:
 ただ、36協定でも特別条項をつけていて、さらにその延長する時間数が多い事業所は指導がされやすいといったことがありますし、過重労働や精神疾患の問題が発生したときは、ストレスチェックの結果を確認される可能性はありますよね。
福島さん:
 そうですね。ただ、面接指導を受けた労働者数が多いと、この事業所は要チェックだということで、調査が行われないか心配です。
宮田部長:
 確かに!ブラック企業だ!って言われそう。
大熊社労士:
 あはは。まぁ、繰り返しになりますが報告はあくまでもストレスチェック制度の実施状況を把握するためです。また、面接指導は従業員のみなさんからの申出に基づいて実施するというものです。人数が多いからとか、面接指導の実施率が高いから・低いからということで、調査や指導の対象になることは考えられないでしょう。
福島さん:
 よかったです!
服部社長服部社長:
 大熊さん、そういえば、健康診断の報告には、確か産業医の印鑑が必要でしたよね?このストレスチェックの報告にも必要になりますか?

大熊社労士:
 はい、その欄が用意されています。ただ、御社も産業医ではなく、他の機関にストレスチェックの依頼をしようと検討されていますよね。そのときにどうするか・・・。
服部社長:
 ええ。それでも必要なら、私のほうから産業医の先生にお願いをしておこうと思いまして。
大熊社労士:
 はい。産業医の職務にはストレスチェックと面接指導に関する事項が含まれています。そのため、少なくとも報告の内容は産業医も知っておくべきものとなります。たとえ、御社のように産業医がストレスチェックに関与していなくても報告内容を確認の上で産業医欄に記名押印してもらうという考え方ですね。
服部社長:
 なるほど。では、また機会をみて、打ち合わせをしておきますね。
宮田部長:
 私も同行いたします。
福島さん:
 宮田部長、ちゃんと段取りをしてきてくださいね!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回でストレスチェック制度の連載は終了となります。制度施行までに、この連載やマニュアル等を確認のうえ、準備を進めてくださいね。


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2015年7月27日「ストレスチェックを受ける従業員の範囲とは?」
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参考リンク
厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP)」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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