育児休業取得者の代替要員を確保すると助成金が支給されます

 服部印刷に行く途中で咲いている桜を見て、春の訪れを感じる大熊であった。


大熊社労士大熊社労士:
 今年度、ご訪問するのも今日が最後となりますね。おそらく今週中に改正雇用保険法等の法案が成立すると思いますので、成立したら、その説明をすることにしましょう。
福島さん:
 はい、いつ成立するのかなと気になっていますので、よろしくお願いします。
大熊社労士:
 さて、今日のテーマなのですが、のびのびになってしまった育児休業を取る人の代わりの人を採用する場合等の助成金についてお話しましょう。
宮田部長:
 お!助成金のお話、待ってました!
大熊社労士:
 それではしっかり聞いておいてくださいよ(笑)。この助成金ですが、中小企業両立支援助成金というものの中にあるひとつのコースです。具体的には「代替要員確保コース」というものになっています。
福島さん:
 育児休業を取る人の代替の人ってことですね。
大熊社労士:
 そうですね。必ず押さえておきたいポイントを説明しておきましょう。まず1点目が、実際に育児休業を取る人は、育児休業終了後に原職等に復帰させなければなりません。元の職場・元の職務に戻ることが前提です。
宮田部長:
 なるほど。育児休業は取ってもいいけど、復帰後はどんな仕事か分からないよ~、はダメということですね。
大熊社労士:
 そうですね。ですので、原職等に復帰させるということを就業規則等に明記する対応が必要です。
福島さん:
 了解です。以前、育児・介護休業規程を見ていたときに、「原職」という言葉を見たような覚えがありますので、しっかりと確認しておきますね。
大熊社労士:
 よろしくお願いいたします。そして、2点目が実際に3ヶ月以上の育児休業を取得して、原職等(相当を含む)に復帰しているということがあります。
福島さん:
 いま想定している人は子どもが1歳になるまで育児休業を取る予定ですので、こちらも大丈夫そうです。
大熊社労士:
 そして、3点目が一番基本となるその人の代わりの人を確保していること。
宮田部長:
 「確保」ですか?
大熊社労士:
 はい。「代替要員」の「確保」です。まず代替要員とは、先ほども説明したように育児休業を取る人の職務を代わりに行う人です。ですので、基本的には育児休業を取る人と同じ事業所・部署で勤務することが必要です。また、労働時間についても、概ね同程度が必要です。1日8時間の仕事を4時間の人が行うというのは、普通に考えると無理ですからね。代替とはいえないのでしょう。
宮田部長宮田部長:
 なるほど~。そうだ!今度、育児休業を取る予定の従業員の仕事、私が引き受けちゃうというのはどうですか?総務の片手間にやっちゃうんですよ~。そうすれば新たに雇う必要もないですし~。名案でしょ?
福島さん:
 宮田部長の場合、総務が片手間になりそうですよね…。
大熊社労士:
 まぁまぁ、そう毒づかないでくださいね、福島さん!確かに宮田部長のやる気は買いますが、それでは助成金のいうところの「確保」にはなりません。新たな雇入れが必要になります。あ、新たに派遣労働者をお願いするのでもいいのですけどね。
宮田部長:
 そうかぁ。新たな雇入れか、派遣かぁ。そりゃそうか。
大熊社労士:
 ただし、同一企業内で育児休業を取る人の職務を他の人が担当し、その人の職務を新たに代替要員の人が行なうという、いわゆる「玉突き」でも問題ないとされています。
福島さん:
 つまり、宮田部長が育児休業を取る人のお仕事をして、新たな総務部長を雇うということですね!(笑)
大熊社労士:
 ははは!そうです!それにしても、福島さん、今日は毒を吐きまくりですね(笑)。
宮田部長:
 いやいや、私を追い出さないでくれよ~(涙)。
福島照美福島さん:
 もちろん、冗談ですよ。私がこうやってやっていられるのは部長がいらっしゃるからですからね。それと大熊先生がいらっしゃるから!
大熊社労士:
 ありがとうございます。
宮田部長:
 ちなみに、この助成金はいくらもらえるのですか?
大熊社労士:
 はい、いまのところ、育児休業取得者1人当たり30万円(育児休業取得者が有期雇用の場合は1人当たり10万円が加算される)となっています。かなり大きいですよね。
宮田部長:
 確かに大きいですね!そりゃ早速、申請しなくっちゃ。
大熊社労士:
 あはは、気が早いですね。申請については、育児休業を取る人が、原職等復帰してから、6ヶ月以上雇用しているという条件がありますので、すぐに申請できるわけではありません。
宮田部長:
 むむむ、そうなるとまだまだ先になりますね。
福島さん:
 確かにそうですね。
大熊社労士:
 はい、しっかりとどのタイミングでどのようなことをする必要があるか、確認しながら進めてくださいね。そして、実はこの助成金ですが、来年度から変更される予定です。
宮田部長:
 え!あまりもらえなくなってしまうとかですか!?
大熊社労士:
 いえ、その逆です。予定では、育児休業取得者1人当たり30万円というのが50万円に増額される予定です。
宮田部長:
 おぉ、それはさらに注目ですね。
大熊社労士:
 そうですね。きちんと整備をして、受給できるように整えていってくださいね。ちなみに、今日説明したこと以外にも、本当に細かな要件もありますので、申請時には厚生労働省から発行されているパンフレットをしっかりとご確認くださいね。
福島さん:
 はい、私がしっかり確認をしておきたいと思います。
大熊社労士:
 よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。中小企業両立支援助成金にはその他のコースもあり、充実したものになっていますので、是非、自社が活用できるものがないかを確認しておきましょう。


関連blog記事
2016年3月7日「育休取得・復帰プランを作ると30万円×2の助成金がもらえます」
https://roumu.com/archives/65734510.html
2016年2月29日「育児休業期間の業務の引継ぎ・代替はどうすればよいのでしょうか」
https://roumu.com/archives/65733904.html

参考リンク
厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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