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社会保険加入に関する情報が他省庁間でやり取りされています

 大熊が服部印刷に到着すると、その姿を見かけた福島さんが服部社長を呼びに行ってくれた。


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、いらっしゃいませ。いま、福島さんが社長を呼びに行ったので、少々お待ちください。
大熊社労士:
 はい、かしこまりました。今日は社長からお尋ねごとですかね?
宮田部長:
 何か直接確認したいから・・・と話していましたね。
福島照美福島さん:
 社長ですが、電話中でした。何か社会保険がどうのこうの、なんてお話でしたので、今日のお話のことかも知れません。
服部社長:
 ・・・あぁ、すみません、大熊さん、お待たせしました。大熊さんがいらっしゃる日だと聞いて、少しバタバタしてしまいました。
大熊社労士:
 社長がバタバタとは珍しいですね。何かあったのですか?
服部社長:
 いえね、たまたま知り合いの社長から先日、相談を受けたのですよ。「国土交通省から社会保険に加入していないので、加入手続きをするように」という指導書が来たとかいう話でして。
大熊社労士:
 なるほど、社会保険の最初の加入手続き(新規適用)のお話ですね。
服部社長服部社長:
 いえいえ、それが違うんです。その会社は、既に以前から社会保険に加入しているんです。それにも関わらず、社会保険に加入していないなんて指導書が届いたので、びっくりしていましたよ。その会社は社会保険労務士と顧問契約をしていないらしく、たまたま大熊さんがいらっしゃることが分かったので、そんなことがあるのか?ってことを確認しておくよ、と安請け合いしてしまったんです。
大熊社労士:
 なるほど、そうでしたか。きちんとと加入されているのであれば、心配ありませんよ。今回は国土交通省からの指導書ということでしたので、おそらく建設業の会社さんですね?
宮田部長:
 え!そんな風に業種がすぐに分かっちゃうんですか?
大熊社労士:
 まぁ、なんとなく(笑)。というのも、建設業の社会保険の未加入問題は以前から大きくなっていて、国交省で対策が進められてきました。そして、その対策は厚生労働省との連携も図られて進められています。
福島さん:
 そんな風に他省庁とも連携を取るんですね。
大熊社労士:
 さすが福島さん、良いところに目をつけましたね。そうなんです。従来は縦割り行政で動いてきたものが、だんだん情報を交換し、横の連携も取るようになっています。そして、国交省は厚労省から提供を受けた社会保険の未加入情報を元に、指導書という形で社会保険への加入を促す文書を出したのです。
服部社長:
 なるほど、と言いたいところですが、なぜ、知り合いの会社は加入しているにも関わらず、指導書が届いたのでしょうか?
大熊社労士:
 原因ははっきり聞いていませんが、かなり多くの件数の指導書が誤って送られたようです。実は、私の顧問先にも同じような状況で、指導書が届いたのです。そして、全国社会保険労務士会連合会のホームページを見たら、「国土交通省が発出した社会保険未加入事業者に対する指導書の加入事業所への誤送付に関する会長声明」が出されていました。
服部社長:
 なるほど、と今度は言えますね。まぁ、誤りがあ大熊社労士ったことは残念ですが、誤って発送された会社は何か対応を取らなければならないのですか?
大熊社労士:
 私が確認したところ、特段の対応は必要ないとのことでした。社労士会が声明を出していることからしても、役所の方で再確認してくれると思いますので、問題ないかとは思いますが、心配でしたら国交省なりに確認をされるとよいかと思います。
服部社長:
 了解しました。きっと、社長も安心するかと思います。ただ、大きな声で言うべきことではありませんが、実際に社会保険に加入しなければならない会社で、現実には加入していない会社というのも知っているのですよね。このように他省庁での連携が始まっているとなると、今後はいろいろ調査が入るかも知れませんね。
大熊社労士:
 まさに、おっしゃるとおりです。今回は国交省へ厚労省がデータの提供をしたようですが、逆に厚労省が受け取っているデータもあります。それが国税庁からのものです。
宮田部長:
 国税庁?
大熊社労士:
 えぇ。給与から控除されて納付される源泉徴収の納税情報ですね。これをもとに調査が行われています。今後、納税はしているけれども、加入すべき社会保険に入っていないという会社は要注意ですね。
服部社長:
 なるほど。うちは
加入しているので関係ありませんが、その話、また、次回に詳しく聞かせてもらえませんか?
大熊社労士:
 承知しました。では資料も準備してきますね。
服部社長:
 よろしくお願いいたします

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回の建設業の社会保険に関しては、平成28年1月以降に建設業許可の更新期限を迎える社会保険未加入事業者約51,400社に対し、大臣名の指導書を一斉送付したところ、既に加入事業所となっている会社に対して誤って送付されたそうです。届いた会社は驚いたかと思いますが、落ち着いて対応を進めるようにしましょう。


参考リンク
全国社会保険労務士会連合会「国土交通省が発出した社会保険未加入事業者に対する指導書の加入事業所への誤送付に関する会長声明」
http://www.shakaihokenroumushi.jp/general-person/topics/2015/pdf/20151118.pdf

(宮武貴美)
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社労士法人名南経営 マイナンバー本第2弾 発売まであと2週間 予約受付中

社労士法人名南経営 マイナンバー本の第2弾を出版 5月に日本実業出版社より発売した「マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本」はお陰さまで12刷・6万部という大反響を頂きました。ありがとうございました。マイナンバーについてはその後も様々な情報が出てきたことから、この度、続編を出版することになりました。2週間後の発売ですが、早くもamazonビジネス法入門カテゴリで1位を獲得!現在予約受付中ですので、是非このタイミングでお買い求めください。

書籍名:マイナンバー制度の従業員教育とリスク管理がわかる本
著者:社会保険労務士法人名南経営
出版社:日本実業出版社
ISBN-10:4534053363
発売日:2015年12月3日
※amazonはいつも発売直後に品切れとなることから、早めの予約をお勧めします。

[ご購入はこちら]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534053363/roumucom-22

(大津章敬)

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12月9日開催の外国人留学生ミニ面接会 参加企業募集中

20151125 12月9日に外国人雇用サービスセンターが栄の中日ビル12階のハローワークセミナールームで外国人留学生ミニ面接会を開催します。外国人留学生の力を活用して、「グローバルな視点で優秀な人材を確保したい」「企業の海外戦略の可能性を広げたい」「組織の活性化を図りたい」とお考えの企業の皆様は参加を検討してみてはいかがでしょうか?


 【詳細】
日時
 2015年12月9日(水)午後1時~午後5時
会場
 ハローワークセミナールーム(名古屋外国人雇用サービスセンターの隣)
 名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル12階
参加対象企業
 2015年3月に大学院・大学・短大・専修学校等卒業予定者、及び卒業後概ね3年以内の既卒者を採用予定の事業主
企業数
 4社まで(予定)
申込期限
 2015年11月20日(金)※参加希望多数の場合は抽選となります。
申込方法
 求人申込書【大卒等】を記入のうえ、企業を管轄するハローワークへ提出後、名古屋外国人雇用サービスセンターまで連絡。なお提出の場合は求人申込書の「補足事項」欄に【2015年12月9日 外国人留学生ミニ面接会対象求人】と記入する。
申込み・問い合わせ先
 ハローワーク名古屋中 名古屋外国人雇用サービスセンター留学生コーナー
 〒460-0008
 名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル12階
 TEL:052-264-1901
 FAX:052-249-0033
 Email:hw-gaikoku-job@aichi-rodo.go.jp
 URL:http://aichi-foreigner.jsite.mhlw.go.jp


参考リンク
外国人留学生ミニ面接会参加企業を募集します!
http://aichi-foreigner.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0109/2803/20151111203517.pdf

(中島敏雄

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様式第2号 一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法・次世代法一体型)

shoshiki678 これは次世代育成支援対策推進法に対応した一般事業主行動計画策定・変更届と女性活躍推進法に基づいて提出する一般事業主行動計画策定・変更届が一体化した(女性新法・次世代法一体型)雛形(画像はクリックして拡大)です。
重要度 ★★★
[ダウンロード]
WORDWord形式 shoshiki678.doc(127KB)
pdf
PDF形式 shoshiki678.pdf(35KB)
 

[ワンポイントアドバイス]
 この届出は、301人以上の労働者を雇用する事業主が対象となり、この労働者には、パートや契約社員であっても、1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者も含まることになっています。


参考リンク

厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

(福間みゆき)

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賞与を分割支給すると社会保険料が削減できるのですか?

 大熊が服部印刷に到着すると、久々に服部社長の顔が見えた。


大熊社労士:
 服部社長、お久しぶりですね。
服部社長:
 なかなか同席できずに申し訳ありません。同業者の工場の視察等もあり、なんだかんだ飛び回っていました。そうそう、そこで聞いた話で確認したいことがあり、今日は大熊さんを捕まえようと思っていたところでした。
大熊社労士:
 そうでしたか。それで、確認したいことというのはどのようなことですか?
服部社長服部社長:
 はい、社会保険料のことなのですが、社会保険料の負担は年々重くなっていますよね。会社の負担はもちろんのこと、従業員の負担も大きいなぁ、と思っています。そこで、社会保険料の削減対策に取り組んでいる社長がいて、興味を持ったのです。何か賞与をなくす、とか言っていましたね。あ、もちろん、私の基本は小手先の技を使うのではなく、払うべきものは払う、なんですけどね。
大熊社労士:
 なるほど。その話に関しては、ちょうど通達が出たところです。服部社長がお聞きになった社会保険料削減対策については、今後は問題視・・・ここではダメという表現にしましょうか・・・されると思います。
宮田部長:
 ん?今後は?
大熊社労士:
 えぇ、これまではやむを得ず問題ないと判断されてきたものが、今後は問題ですよ、となったのです。それでは具体的な話をしていきましょうか。
服部社長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 今回、ダメといわれた方法は、例えば年2回、6月と12月に支払われる賞与を分割して毎月の給与に上乗せしましょうというものです。そうなると賞与の保険料は当然、不要になりますよね、そもそも賞与自体がなくなるわけですから、保険料も当然かかりません。
福島さん:
 大熊先生、でも、それでは給与の標準報酬月額が上がって、毎月の保険料が増えてしまいますよね?
宮田部長宮田部長:
 だよね?たぶん、うちの会社でそんなことをしたら、従業員から「思ったより手取りが増えない!だから賞与も払ってくれ~!」って単純に手当の増額になり、賞与も払うことになり・・・・逆効果かも知れませんよ。私もそう言っちゃいそうです(笑)。
大熊社労士:
 はい、もちろん。賞与の額、そうですね。例えば、6月と12月に60万円ずつ払われている賞与を、12ヶ月で均等に割り、1ヶ月10万円を上乗せすると、1年を通して標準報酬月額が上がってしまって、結局、保険料の削減効果はほぼありません。
福島照美福島さん:
 他の残業手当などもあるので、なんともいえないですけど、そうですよね。少なくとも大幅に削減できるイメージはありません。もしかすると高くなる人もいるかも知れませんよね。
大熊社労士:
 ただ、その60万円ずつの賞与を均等ではなく、毎月の給与に上乗せすると・・・例えば、極端な例として、賞与手当として、2月から6月および8月から12月は500円を、1月および7月は597,500円を支給するというような形にすると・・・。
宮田部長:
 1月と7月に賞与が払われるみたいで、うれしくなります!小躍りしちゃうかも。あ、でも他の月は500円かぁ。お小遣い交渉が大変になりそうです。
福島さん:
 あ!月額変更するのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 そうです!小躍りして交渉しながら、月額変更届を出すことになります(笑)。もう少し詳しく事例をみていきましょうね。月額変更は、固定的賃金の変動があった場合等に、変動月からの3ヶ月間に支給された給与を平均し、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差がある場合に、届出を出すことになります(実際には他の要件もあり)。先ほどの事例ですと、1月と7月には賞与手当が増加(500円から597,500円)したため、1月から3月、7月から9月の平均で月額変更の判断を行います。
服部社長:
 1月・7月の給料が高いために、当然、平均も高くなり、月額変更に該当しますよね?
大熊社労士:
 そうですね。4月と10月に増額の月額変更になりますね。そして、2月と8月には賞与手当が減額(597,500円から500円)したため、2月から4月、8月から10月の平均で月額変更の判断を行います。そうなると当然・・・
宮田部長:
 5月と11月に減額の月額変更になる!
大熊社労士:
 このケースですと、年間2ヶ月(4月と10月)は高い標準報酬月額ですが、逆に10ヶ月は低い標準報酬月額になります。賞与は支給されない(月給に振り分けられる)ので、賞与の保険料も発生しないことになります。さらには、算定基礎も4月から6月の賞与手当の低い時期に該当するので、算定基礎で標準報酬月額が高くなることもありません。
服部社長:
 なるほど。確かに社会保険料の
削減にはなりますね。ただ、私には法律の抜け道を通る、法のもともとの主旨を逸脱した内容に見えます。
大熊社労士:
 そうですね、私も同感です。厚生労働省も同じ判断をしたため、今回の通達で、ダメなケースとして整理したのでしょう。
福島さん:
 今後、大熊先生のおっしゃった事例のように支給しているとどうなりますか?
大熊社労士:
 はい、給与規定等により賞与等を分割して毎月支給する場合については、毎月支給される通常の報酬には含めないことになります。その上で、保険料を計算するときの報酬額の算定は、年間を通じ4回以上支給される賞与として、年間の支給額の総額を12で割って計算することになるようです。たまたま賞与が12ヶ月払われたよ、っていう取り扱いですね。
服部社長:
 いずれにしても、これまでのようには行かないということですね。よく分かりました。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回の取り扱いの変更は、以前、発出された通達を見直し、その一部を変更することで、このような取り扱いがされることになりました。適用は平成27年10月1日で既に始まっています。


 関連blog記事
2015年11月12日「【続報】賞与を分割支給する社会保険料節減スキームへの具体的対応事例」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52089489.html
2015年11月10日「厚労省 賞与を分割支給する社会保険料節減スキーム対策についての通知を発出」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52089297.html
2015年11月9日「厚生労働省 社会保険逃れの手法に「待った!」」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/45944540.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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社労士法人名南経営 マイナンバー本第2弾を出版 予約受付開始

社労士法人名南経営 マイナンバー本の第2弾を出版 5月に日本実業出版社より発売した「マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本」はお陰さまで12刷・6万部という大反響を頂きました。ありがとうございました。マイナンバーについてはその後も様々な情報が出てきたことから、この度、続編を出版することになりました。先日より予約受付が開始されましたので、是非お買い求めください。

書籍名:マイナンバー制度の従業員教育とリスク管理がわかる本
著者:社会保険労務士法人名南経営
出版社:日本実業出版社
ISBN-10:4534053363
発売日:2015年12月3日
※amazonはいつも発売直後に品切れとなることから、早めの予約をお勧めします。

[ご購入はこちら]
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様式第1号 一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法単独型

shoshiki677 これは女性活躍推進法に基づいて提出する一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法単独型)の雛形(画像はクリックして拡大)です。
重要度 ★★★
[ダウンロード]
WORDWord形式 shoshiki677.doc(82KB)
pdf
PDF形式 shoshiki677.pdf(20KB)
 

[ワンポイントアドバイス]
 この届出は、301人以上の労働者を雇用する事業主が対象となり、この労働者には、パートや契約社員であっても、1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者も含まることになっています。


参考リンク

厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

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平成28年度の扶養控除申告書にマイナンバーを書かなくてもよいのですか?

 大熊が服部印刷に到着すると、今日も福島さんが思い悩んだ顔をしていた。


福島さん:
 大熊先生、こんにちは。本当は労働者派遣法改正の内容も気になっているのですが、それよりも当面はマイナンバーの方が気になってしまっていまして・・・。
宮田部長宮田部長:
 福島さんだけでなく、企業の総務担当者の多くはマイナンバーのことがずっと気懸かりですよね。
大熊社労士:
 確かに、私の顧問先でも必ずと言ってよいほど、マイナンバーの話題が出ますね。
福島さん:
 そうですよね。今日、お聞きしようと思っていたことは、平成28年の扶養控除等(異動)申告書へのマイナンバーの記載です。噂で「平成28年分の申告書には、マイナンバーを記載しなくてもよくなった」とか・・・。前回は、集める時期のお話で、申告書に記載してもらうか、という迷いでしたが、そもそも申告書に記載する必要がないのであれば、申告書の保管の心配も少しは薄れるなぁ、なんて思っていまして。
大熊社労士:
 確かにそうですね。福島さんのおっしゃるとおり、先月末、国税庁から申告書のマイナンバーの記載について、対応レベルを緩和するような内容のQ&Aが公開されました。少し前提からお話しましょうね。
福島さん:
 よろしくお願いいたします。
大熊社労士:
 まずは、平成28年分の申告書にはマイナンバーの記載欄が設けられています。そして、平成28年1月以後に提出される申告書は、従業員本人、控除対象配偶者、控除対象扶養親族等のマイナンバーを記載してもらう必要があることになっていました。
宮田部長:
 あれ?でも、この前、大熊先生は書かなくてもいい、みたいな話をしていませんでしたか~?
大熊社労士:
 よく覚えていらっしゃいましたね、そのとおりです。というのも記載の義務が発生するのは、平成28年以降に提出をするものからになります。つまり、平成27年中に提出するものは、平成28年分の申告書であっても記載しなくてもいいのです。ただ、平成28年分の申告書を平成27年分の年末調整の資料と一緒に配布する企業が多く、平成27年中に平成28年分の申告書の提出を受ける場合であっても、平成28年分の源泉徴収票に記載するために、マイナンバーの記載を従業員に求めても構わないとされていました。
福島照美福島さん:
 つまり、今年中に提出する申告書にはマイナンバーを書いても書かなくてもどちらでもよい、ということですよね。ただ、書かない場合にはなんらかのマイナンバーを集める方法が必要ということですね。
大熊社労士:
 そうですね。プラスして、ここで押さえておきたいのは、平成28年1月以降に提出する申告書についてはマイナンバーの記載が必要ということです。これが大原則です。
宮田部長:
 は・・・はい。
大熊社労士大熊社労士:
 ただし、マイナンバーが記載された書類は保管(安全管理措置への対応)が必要で、キャビネットにしまうのであれば鍵つきでなければならないということになります。そうなると、どうしても企業の負担は増えますよね。なので、例外的な取り扱いができたのです。それが、申告書の余白に従業員が「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、たとえ平成28年1月以降に提出をするものであっても、マイナンバーの記載を省略できるというものです。
宮田部長:
 でも、それだとマイナンバーが分からないじゃないですか。そんなんでいいんですか?
大熊社労士:
 いやいや、だめですよね。ですので、企業としては、企業が別途保管しているマイナンバーと省略されているマイナンバーが、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しなければならないとしています。つまり、きちんとマイナンバーを収集して、例えば、平成28年分の申告書に社員番号を記載し、マイナンバーについても社員番号ですぐに検索できるような形にするということになります。
宮田部長:
 なるほど~。
大熊社労士:
 まぁ、勝手に何でも省略できるわけではないってことですね。あくまでも例外的な処理ということでご理解くださいね。後は、従業員さんもその認識が必要ということですね。
福島さん:
 ありがとうございました。マイナンバーをどのように集めるかということと一緒に平成28年分の申告書への記載をどうするかも考えたいと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回取り上げたマイナンバーの取り扱いは他にも注意事項がありますので、以下のリンクでご確認ください。
http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a19


関連blog記事
2
015年11月2日「既存従業員のマイナンバーはいつ回収するのがよいのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/65722756.html
2015年10月3日「本人交付用の源泉徴収票へのマイナンバーの記載は不要に!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52086174.html

(宮武貴美)
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希望者全員が65歳以上まで働ける企業は71.9%

11月06日 愛知労働局は高年齢者の65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況をまとめた、平成27年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)の集計結果を公表しました。ポイントは以下のようになっています。

高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は99.5%
 (対前年差0.5ポイント増加)
 ※中小企業は99.4%、大企業は100.0%
希望者全員が65歳以上まで働ける企業は6,917社で割合は71.9%
 ※前年より545社、2.3ポイント増加
 ※中小企業では6,440社で割合は74.7%
 ※大企業では477社で割合は47.7%
70歳以上まで働ける企業は2,281社で割合は23.7%
 ※前年より209社、1.1ポイント増加
 ※中小企業では2,121社で割合は24.6%
 ※大企業では160社で割合は16.0%
過去1年間の60歳定年企業における定年到達者(21,682人)のうち、継続雇用された人は18,270人(84.3%)
 ※継続雇用を希望しない定年退職者は3,367人(15.5%)
 ※継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は45人(0.2%)

 将来の労働力人口の減少等を踏まえ、調査結果を参考にして皆様の会社でも生涯現役社会の実現に向け取組を行ってみてはいかがでしょうか。


参考リンク

愛知労働局「平成27年「高年齢者の雇用状況」集計結果」
http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/houdou/houdouhappyou_2015/1021_001.html

(三好奈緒

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2015年11月の「人事労務のお仕事カレンダー」

6b826cec 11月に入り、総務担当者としては年末調整という年内最後の大イベントがありますね。今月中には書類の回収が整うように段取りを決めておきましょう。またマイナンバーの通知カードの送付も本格化します。その回収、確認、保管の仕組みづくりと対応を進めましょう。


[11月の主たる業務]
11月1日(日)から11月30日(月)まで過重労働解消キャンペーン
参考リンク:厚生労働省「「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施します」 
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000097430.html

11月1日(日)から11月30日(月)まで労働保険適用促進強化期間

11月1日(日)から11月30日(月)職業能力開発促進月間

11月10日(火)一括有期事業開始届(建設業)届出
参考リンク:厚生労働省「労働保険関係各種様式」 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yousiki.html

11月10日(火)10月分の源泉所得税・復興特別所得税・住民税特別徴収税額の支払
参考リンク:国税庁「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2505.htm

11月10日(火)継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分※口座振替を利用する場合)
参考リンク:厚生労働省「労働保険料等の口座振替納付」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/hokenryou/index.html

11月30日(月)10月分健康保険・厚生年金保険料の支払
参考リンク:日本年金機構「保険料と総報酬制について」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20140714.html

[トピックス]
パート等の年間収入チェック
 パートやアルバイト等においては、所得税法上の扶養親族の範囲(年間給与収入103万円以内)等で働いていることが多くあります。そのため、年末になってこのまま勤務するとその収入の範囲を超えてしまうといって、急に休んでしまうことが懸念されます。今のうちから収入をチェックしておき、年末の忙しい時期になって「人手が足りない」と困ることがないよう、調整しておきましょう。
参考リンク:国税庁「所得税 配偶者控除」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm


裁判員候補者への通知

 来年1月からの裁判員候補者に対して、11月12日に最高裁判所より名簿記載通知が郵送されます。会社においては、従業員からの相談があれば応じる旨のアナウンスをしておきましょう。
参考リンク:最高裁判所「裁判員制度 名簿記載通知について」
http://www.saibanin.courts.go.jp/notification/index.html

ストレスチェックの実施
 2015年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、2015年12月から1年以内ごとに1回、定期にストレスチェックと面接指導の実施をすること等が事業者へ義務付けられました。従業員50人以上の事業場は準備を進めておきましょう。※従業員50人未満の事業場は当分の間努力義務となっています。
参考リンク:厚生労働省「改正労働安全衛生法に基く、ストレスチェック制度とは?」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/summary/#p01

[今月のアクション]
賞与決定までの準備
 今月は、賞与の支給額を決めるための準備があります。業績や勤務成績などの情報を整理し、人事評価資料の配布などを行いましょう。

年末調整の申告書の手配
 年末調整の時期となりました。記入漏れや添付資料の不備がないか早めにチェックを行い、資料を整えておきましょう。

参考リンク:国税庁「平成27年分 年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2015/01.htm

年賀状の手配
 そろそろ年賀状の手配が必要になります。早めに送付先の確認をしておきましょう。

(中島敏雄)

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