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130万円の壁対策として設けられた被扶養者認定の円滑化

 年収の壁・支援強化パッケージでは、複数の対策が盛り込まれています。その一つである130万円の壁への対応が、パートタイマーやアルバイトが、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に増えたとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みです。

 被扶養者の認定・確認については、令和2年4月10日に厚生労働省保険局保険課が通知した「被扶養者の収入の確認における留意点について」において以下のように示されています。


・今後1年間の収入を見込む際には、例えば、認定時(前回の確認時)には想定していなかった事情により、一時的に収入が増加し、直近3ヶ月の収入を年収に換算すると130万円以上となる場合であっても、直ちに被扶養者認定を取消すのではなく、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等と照らして、総合的に将来収入の見込みを判断すること。
・確認に当たり、被扶養者認定を受けている方の過去1年間の収入が、昇給又は恒久的な勤務時間の増加を伴わない一時的な事情等により、その1年間のみ上昇し、結果的に130万円以上となった場合においても、原則として、被扶養者認定を遡って取り消さないこと。


 そのため、これまでも一時的に収入が増加し、年収が130万円以上となったとしても、状況によっては被扶養者資格は認定・確認されていました。

 今回の年収の壁対策では、この認定・確認が円滑にされるように、「被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書」の様式を厚生労働省が示し、この証明書に基づくことで、被扶養者資格の認定・確認を円滑に行おうとするものです。

 ただし、最終的には各保険者において雇用契約書等も踏まえつつ、収入の増加が一時的なものかどうか確認されることになるため、事業主の証明書があれば必ず被扶養者資格は認定・確認がされるものではありません


関連記事
2023年10月23日「被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書」
https://roumu.com/archives/119428.html

参考リンク
法令等データベース「被扶養者の収入の確認における留意点について(令和2年4月10日)」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5007&dataType=1&pageNo=1
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
厚生労働省「事業主の証明による被扶養者認定に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/001159347.pdf

(宮武貴美)

106万の壁対策として拡充されたキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

 いわゆる壁問題への対応として、パート・アルバイトで働く方の社会保険の加入に合わせて手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、労働者1人当たり最大50万円の支援をする仕組みが設けられました。具体的には、2023年10月20日から、キャリアアップ助成金に社会保険適用時処遇改善コースが追加され、その手続きが開始されています。

 この社会保険適用時処遇改善コースには以下の2つのメニューが用意され、対象者1人当たり最大50万円の助成金が支給されます。
(1)手当等支給メニュー
 事業主が労働者に社会保険を適用させる際に、「社会保険適用促進手当」の支給等により労働者の収入を増加させる場合に助成されます。
(2)労働時間延長メニュー
 所定労働時間の延長により社会保険を適用させる場合に事業主に対して、労働者1人あたり中小企業で30万円(大企業の場合は22.5万円)の助成が行われます。

 この助成金に関しては以下に詳細の情報が掲載されていますのでご参照ください。なお、この助成金を活用する場合には「社会保険適用促進手当」の支給等により労働者の収入を増加させることが求められます。その結果、従業員間での不均衡が発生したり、助成金支給期間後の負担増など様々な課題が想定されます。導入に当たっては慎重な議論をされることをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html


参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
厚生労働省「「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou_qa2.html

(大津章敬)

新しい時代の働き方に関する研究会 報告書が公開

 2019年の働き方改革関連法の施行からまもなく5年。見直し規定による法改正が想定される中、その基礎資料となる新しい時代の働き方に関する研究会 報告書が公表されました。
 
 この中では、新しい時代に即した労働基準法制の方向性が、以下の7つの視点からまとめられています。

  1. 変化する経済社会の下でも変わらない考え方を堅持すること
  2. 働く人の健康確保
  3. 働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ
  4. シンプルでわかりやすく実効的な制度
  5. 労働基準法制における基本的概念が実情に合っているかの確認
  6. 従来と同様の働き方をする人が不利にならないように検討すること
  7. 労働基準監督行政の充実強化

 この5年間で、リモートワークや様々なデジタルデバイスの普及、働く人の意識の多様化など、働く環境は大きく変化しています。そうした新しい環境に即した法改正の議論がこれから活性化していきます。特に労働時間法制については大きな見直しが予想される内容となっています。是非、内容のチェックをお勧めします。
[2023/10/20追記]
厚生労働省ホームページにて正式版が公開されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35850.html


参考リンク
厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会 第15回資料(2023/10/13」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35725.html

(大津章敬)

酒気帯びの有無の確認記録紙(運転者別管理/2023年12月1日以降版)

これは、安全運転管理者が、運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を確認し記録するための様式例です。(2023年12月1日以降版)

重要度 ★★★
官公庁への届出:なし

[ダウンロード]
Word形式   2023092861.docx
PDF形式  2023092861.pdf

[ワンポイントアドバイス]

酒気帯び確認を行った場合は、以下の事項について記録し、当該記録を1年間保存することとされています。

1 確認者名
2 運転者名
3 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
4 確認の日時
5 確認の方法
 対面でない場合は具体的方法 ※ 「電話で通話し確認」等を記載
6 酒気帯びの有無
7 指示事項 ※ 酒気帯びが認められた従業員に対する指示を記載
8 その他必要な事項


関連記事
2023年6月12日「業務で自動車運転をする際の検知器によるアルコールチェック義務化 2023年12月施行へ」
https://roumu.com/archives/117642.html

参考リンク
千葉県警察「安全運転管理者の業務」
https://www.police.pref.chiba.jp/kotsusomuka/window_permit-05_04.html


(海田祐美子)

2024年10月社会保険適用拡大に向けて広報が始まりました

 2016年10月に、正社員の所定労働時間の4分3以上働くパートタイマーに加え、従業員501人以上の会社で週20時間以上働く等、一定の要件を満たしたパートタイマーも社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになりました。その後、この従業員規模は2022年に101人以上に引き下げられ、2024年10月には51人以上規模に引き下げられることになります(社会保険の適用拡大)。

 2024年10月まで残り1年強となり、適用拡大に向けて厚生労働省および日本年金機構は広報を開始しました。今回の適用拡大では、適用拡大の対象となる短時間労働者の要件は変わりませんが、従業員規数の規模が変更になるため、多くの企業に影響し、既に適用拡大の対象となっている企業でも従業員の配偶者が社会保険の扶養から除外する手続きが増えるといったことが予想されます。

 パートタイマーの中でも、社会保険料の負担を避けたい等の理由から、2024年10月以降は週20時間未満に抑えて働く人も一定数発生するでしょう。人手不足が深刻化する中、早めにパートタイマーに適用拡大に関するの制度や、発生する影響について説明することが求められています。

 なお、厚生労働省が公開する「社会保険適用拡大特設サイト」では、パートタイマーへの説明に利用できる各種パンフレット(従業員数51人以上規模に向けたもの)がダウンロードできるほか、会社が負担することとなる社会保険料をシミュレーションできる機能もあります。適用拡大に向けて参考にしたいものです。

↓社会保険適用拡大特設サイトはこちら
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/

 


関連記事
2023年9月1日「社会保険の適用拡大 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(2023年6月版)」
https://roumu.com/archives/118636.html
2023年8月30日「社会保険適用拡大ガイドブック(従業員用/2023年6月版)」
https://roumu.com/archives/118633.html
2023年8月29日「社会保険の適用拡大 パート・アルバイトのみなさまへ(第1号被保険者用/2023年6月版)」
https://roumu.com/archives/118630.html
2023年8月28日「社会保険適用拡大ガイドブック(事業主用/2023年6月版)」
https://roumu.com/archives/118627.html
2023年8月24日「法律改正によりパート・アルバイトの社会保険の加入条件が変わります。(2023年6月版)」
https://roumu.com/archives/118624.html

参考リンク
社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
(宮武貴美)

月の途中で時給を変更したときの月額変更の起算月の考え方

 2023年度の地域別最低賃金(全国加重平均額)は、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高の引上げ額となり、多くの企業で人件費の負担が増加することになります。

 10月1日以降、都道府県ごとに決められた発効日に改定後の最低賃金が発効されますが、そのタイミングは1ヶ月ごとに区切った賃金計算期間の途中となるケースもあるでしょう。最低賃金額を下回るような賃金の場合、発効日以降の労働に対して最低賃金額以上の賃金を支払う必要があるため、賃金計算期間の途中に発効日がある場合、以下のいずれかによって最低賃金の引上げに対応する必要があります。
 1.賃金計算期間の初日に前倒し賃金額を引上げる
 2.賃金計算期間の途中の発効日に合わせて賃金額を引上げる

 最低賃金の引上げについてはいずれも問題ありませんが、引上げのタイミングは随時改定(月額変更)にも影響を与えることになります。例えば、賃金計算期間が前月16日から当月15日、賃金支給日当月25日の場合で、最低賃金の発効日が10月1日の場合、以下のような対応になります。

1.賃金計算期間の初日に前倒し賃金額を引上げる(9/16引上げ)
 10月起算:10/25、11/25、12/25に支給される賃金により月額変更を判断する

2.賃金計算期間の途中の発効日に合わせて賃金額を引上げる(10/1引上げ)
 11月起算:11/25、12/25、1/25に支給される賃金により月額変更を判断する

 これは「昇給・降給した給与が実績として1か月分確保された月を固定的賃金変動が報酬に反映された月として扱い、それ以後3か月間に受けた報酬を計算の基礎として随時改定の判断を行う。」という日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に示されたQ&Aに基づくものです。

 給与計算ソフトにおいて月額変更を判断するような場合、2.の判定が想像通りにはいかないという可能性もあります。大幅な引上げにより、月額変更の対象になる従業員も多く発生する可能性が高いため、誤った取扱いをしないように注意しましょう。


参考リンク
日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/jireisyu.pdf

(宮武貴美)

いまの会社は20年後もあると回答した新入社員は49.9%に止まる

 第四次産業革命といわれる現代。DXなどにより日々、ビジネスの環境が大きく変化していますが、それは社員の会社に対する意識にも大きな影響を与えているようです。そこで本日はマイナビが実施した「2023年新入社員の意識調査」から、新入社員が会社の今後についてどのように見ているのかを確認して行きましょう。
 
 かつては、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の3つが日本的経営の「三種の神器」と言われたものですが、働く側にとっても終身雇用という意識が当たり前のようにありました それはそもそも現在の会社が今後数十年にわたって存続するということが前提になっていた訳です。しかし近年、終身雇用という考え方はほぼなくなり、社員の転職が当たり前のものになっていますが、その前提にある従業員の意識にはどのような変化が起こっているのでしょうか。

 この調査では「いまの勤め先が何年後まであるか」という設問があり、その回答は以下のようになっています。
3年以内 0.9%
~5年後くらい 4.1%
~10年後くらい 10.5%
~20年後くらい 11.9%
20年以上 49.9%
分からない 22.8%

 このように「いまの会社が20年以上ある」と考える新入社員が49.9%に止まることが分かりました。このような状況では当然、社員はいつでも転職できる汎用的なスキルを身につけることを重視することになります。現実的に仕事の内容が大きく変化する時代になっていますのでリスキリングを行ない、新たな環境に適応できる能力を身につける重要性が高いことは言うまではありません。しかし企業としては同時に、従業員が自社で安心して長く働けるという認識を持てるようなビジョン、そして経営方針を示すことが重要な課題になっているとも感じます。
 
 政府が進める三位一体の労働市場改革においてもリスキリングを行ない、成長分野への転職を促すという方針が示されていますが、企業としては人材流出を放置することはできません。常に企業を取り巻く環境の変化に対応し、新たなビジネスを創造することで、企業の存続発展を確かなものにして行きたいものです。


参考リンク
マイナビ「2023年新入社員の意識調査(2023/8/21)」
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/careertrend/15/

(大津章敬)

出社頻度の増加には好反応も「毎日出社」希望は21%に止まる

 新型コロナの5類化以降、新型コロナを取り巻く意識は大きく変化をしています これにより、テレワークの実施を見直す企業も増加しており、今後その影響が出て来ることが予想されます。そこで本日は、エンジャパンが行った「7000人に聞いたアフターコロナの働き方に関する調査」から5類化後のテレワークの状況について見ていくことにしましょう。
 
 2023年5月8日に新型コロナウイルスが5類に移行し 出社頻度を増やす企業が増加しています。今回の調査では、こうした出社頻度を増やす企業に対する意識は以下のような結果となっています。
とても良いと思う 21%
まあまあ良いと思う 35%
あまり良いと思わない 23%
よくないと思う 9%

 このように過半数が出社頻度の増加に対して好意的な反応を示しています これはテレワークによりコミュニケーション不足などの課題が存在したことの裏返しであると言うことができると思われますが、一方で理想の出社頻度については「毎日出社」は21%に止まっており、その他の結果も以下のようになっています。
週4日出社 21%
週3日出社 21%
週2日出社 10%
週1日出社 6%
週1日未満(月1~3日)出社 7%
フルリモート 10%

 このように出社頻度の増加については好意的に捉える傾向があるもの、リモートワークへの希望はかなり高いものになっていることが分かります。このような「出社頻度やテレワーク等の働き方は企業選びにどの程度影響しますか」という質問については30%が「とても影響する」、33%が「少し影響する」、30%が「あまり影響しない」と回答しており、何らかの形で影響するという回答が6割を超える状況になっています もっともこれはテレワークがなければその会社に入社しないという意味ではなく、テレワークがほとんどない職場を探しているという意見も存在することから、採用活動においてはプラスマイナス両方の影響があるということができるでしょう。とはいえ、毎日出社することを希望する社員が少ないことも事実であり テレワークの実施有無が採用力に大きな影響を与えるということは間違いがないようです。


参考リンク
エンジャパン「7000人に聞いた『アフターコロナの働き方』調査(2023/8/22)」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/34185.html

(大津章敬)

「働くこと」と「労働法」~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~(2020年3月改訂版)

タイトル:「働くこと」と「労働法」~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~(2020年3月改訂版)
発行者:厚生労働省
発行時期:2020年3月
ページ数:248ページ
概要:大学や短期大学、高等専門学校、専修学校専門課程などに在学している学生に対して、就職などで社会に出る前に理解しておいて欲しい働く上でのルールについて、教職員が指導する際の手引きとして作成された労働法に関するパンフレット。多様な場面に応じた以下の8テーマが設定されている。(2020年3月改訂版)

0.「働くこと」を考えよう
1.アルバイトを始める前の注意点
2.働き始めておかしいな、と気付いたら
3.インターンシップを行うに当たって
4.就職活動の際の留意点
5.契約と労働条件
6.働きすぎと心身の健康
7.多様な働き方
8.働き続けやすさとは

Downloadはこちらから(30.3MB)
https://roumu.com/pdf/2023092663.pdf


参考リンク
厚生労働省 確かめよう労働条件「『働くこと』と『労働法』~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/daigakumukeshiryou/

(海田祐美子)

社会保険の適用拡大 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(2023年6月版)

タイトル:社会保険の適用拡大 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(2023年6月版)
発行者:厚生労働省
発行時期:2023年6月
ページ数:2ページ
概要:パート・アルバイト従業員(第3号被保険者)に向けて、2024年10月からの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用拡大を案内するリーフレット(2023年6月版)

Downloadはこちらから(1.16MB)
https://roumu.com/pdf/2023082105.pdf


参考リンク
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/guidebook/


(古澤菜摘)