労政審建議「時間外労働の上限規制等について」における医師面接制度・管理職時間把握の強化
2017年6月7日のブログ記事「労政審建議「時間外労働の上限規制等について」における限度時間適用除外業務等の見直し」では、労働政策審議会が2017年6月5日に行った時間外労働の上限規制等にかかる建議の中から、限度時間の適用除外に関する取り扱いについて取り上げました。本日もこの建議の中の重要箇所である「長時間労働に対する健康確保措置」について取り上げます。
医師による面接指導
・長時間労働に対する健康確保措置として、労働安全衛生法第66条の8の面接指導について、現行では1週間当たり40時間を超えて労働させた場合のその超えた時間が1か月当たり100時間を超えた者から申出があった場合に義務となっているが、この時間数を定めている省令を改正し、1か月当たり80時間超とすることが適当である。
労働時間の客観的な把握
上記の面接指導(新技術、新商品等の研究開発の業務における面接指導を含む)の適切な実施を図るため、平成27年2月13日の当分科会報告にあるように、管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である。その際、客観的な方法その他適切な方法の具体的内容については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を参考に、通達において明確化することが適当である。
つまり、長時間労働にかかる医師による面接制度については、従来よりもバーを下げ、月80時間超の時間外労働を対象とし、また管理監督者についても客観的な方法による労働時間把握義務を課すという方向が打ち出されています。特に後者については、従来、適用除外者である管理監督者については、労働時間管理がほぼ機能していないという状況が多く見られましたので、大きなインパクトがあるのではないでしょうか。これを契機として、管理職についても効率的な働き方が強く求められることになりそうです。
「時間外労働の上限規制等について(建議)本文はこちら
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000166797.pdf
※この建議の中には勤務間インターバル制度の努力義務化についての記載もありますが、この点についてはこれまでお伝えしてきたとおりですので、今回は特に取り上げません。
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2017年6月6日「労働政策審議会建議「時間外労働の上限規制等について」が公表されました」
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参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会建議「時間外労働の上限規制等について」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166799.html
(大津章敬)
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