[雇用保険法改正]省令に見る特定受給資格者の範囲

 平成19年10月1日施行の改正雇用保険法については、これまで何度か当ブログでも取り上げていますが、本日は今後の実務に大きな影響を与えるであろう特定受給資格者の判断基準について取り上げましょう。


 今回の10月改正では、これまで一般と短時間に分かれていた雇用保険被保険者資格区分の一本化が行われますが、これに合わせて、受給資格要件の一本化も実施され、基本手当を受給するためには、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要とされることになります。しかし、倒産、解雇等の理由により離職した特定受給資格者については、この被保険者期間が「離職日以前1年間に6ヶ月以上」で足りるとされています。これにより、6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の退職については、その離職理由により基本手当の受給可否が分かれることとなるため、この特定受給資格者の範囲がどのように規定されるかは非常に実務上の影響が大きいと予想されていました。そんな中、先週、雇用保険法施行規則等を変更する省令が公布(平成19年7月23日官報)され、この倒産・解雇等に該当する特定受給資格者の範囲が示されました。


 この省令では具体的には、以下の2つを特定受給資格者と認めることになっています。

1年未満の期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働契約が更新されることが明示された場合において労働契約が更新されなかった離職者
被保険者期間が6か月以上12か月未満で、正当な理由のある自己都合による離職者


 この他、厚生労働省のホームページでは特定受給資格者に該当する者のまとめが掲載されていますので、併せて確認されることをお勧めします。それにしても今回の必要被保険者期間の延長により、退職理由に関する退職者とのトラブルが増加しないか非常に心配です。



関連blog記事
2007年7月23日「育児休業中の社員を臨時勤務をさせる場合の育児休業給付の支給調整」
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2007年7月18日「[雇用保険法改正]育児休業給付を受給した場合の基本手当との調整」
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参考リンク
厚生労働省「「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」の労働政策審議会に対する諮問及び答申について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/07/h0720-3.html
厚生労働省「特定受給資格者の範囲の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/hanni.html


(宮武貴美)


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