平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント3 通常の労働者への転換の推進

 本日は改正パートタイム労働法の連載の第3回目として「通常の労働者への転換の推進」を取り上げたいと思います。



[改正パートタイム労働法のポイント]
労働条件の文書交付・説明義務
均衡のとれた待遇の確保の促進(働き・貢献に見合った公正な待遇の決定ルールの整備)
通常の労働者への転換の推進
苦情処理・紛争解決援助




 上記改正法のポイントのである「通常の労働者への転換の推進」の背景には、「短時間労働者の一部は、非自発的に短時間労働者となっている者であるにもかかわらず、一度短時間労働者として就職すると、希望にかかわらずその働き方が固定化してしまう」、「意欲のある者は、通常の労働者へ転換できるような機会をつくることが必要」という現状の課題認識があります。これを解決するために、今回の改正ではパート労働者に対し、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じることが事業主に義務付けられました。具体的な例としては以下の3点が挙げられています。
(1)当該事業所の外から通常の労働者を募集する場合には、その雇用する短時間労働者に対して当該募集に関する情報の周知を行う
(2)社内公募として、短時間労働者に対して、通常の労働者のポストに応募する機会を与える
(3)一定の資格を有する短時間労働者を対象として試験制度を設ける等、転換制度を導入する等


 この改正により、今後、パートタイマーの社員登用制度を創設する工夫などが求められるでしょう。なお、こうした制度の創設の際にはパートタイム助成金の受給ができる場合がありますので、チェックしてみてください。


[参考条文]
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第12条(通常の労働者への転換)
 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
三 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
2 国は、通常の労働者への転換を推進するため、前項各号に掲げる措置を講ずる事業主に対する援助等必要な措置を講ずるように努めるものとする。



関連blog記事
2007年9月11日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント2 均衡のとれた待遇の確保の促進」
https://roumu.com
/archives/51062839.html

2007年9月7日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント」
https://roumu.com
/archives/51061223.html

2006年12月31日「パートタイマーに関する再チャレンジ支援策の動向とパートタイム助成金」
https://roumu.com
/archives/50840276.html


参考リンク
厚生労働省「パートタイム労働法の一部を改正する法律(平成19年法律第72号)の概要」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1a.html
厚生労働省「パートタイム労働法が変わります(改正パートタイム労働法 広報用リーフレット)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1b.html
厚生労働省「雇用均等・両立支援・パート労働情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/index.html


(宮武貴美)


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