メール文化がもたらす無口な職場

 ビジネスの現場において、メールは今やなくてはならないコミュニケーションツールになっています。メールの普及により遠隔地にいる社員への情報伝達や社員間での情報の共有が容易になり、仕事の効率が大幅に改善したという話も多いのではないでしょうか。しかしその一方で、目の前に座っている同僚ともメールで会話をするというような状況が、冗談でもなんでもなく現実に見られるようになっています。またメールに頼り過ぎているために、顔色を見ればすぐに分かることが分からなくなるということもあるでしょう。以前は、印刷した資料を相手のところまで持って行き雑談をしたり、元気がなさそうな表情を見て「何か心配事でもあるか?」と気遣ったりといったことがありました。しかし、いまはメールに資料を添付して送ってしまうため、自分の表情を伝える、あるいは相手の表情を感じ取ることが非常に難しくなっています。メールコミュニケーションが中心になることによって、目で見たり耳に入ってくるものが少なくなっているのではないでしょうか。


 メールは生産性を向上させるためには非常に有効なツールですが、同時にフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを阻害してしまうという大きな課題を抱えています。健全な組織内コミュニケーションを確立するためには、組織全体がメール依存症となる前に、対策を講じることが望まれます。例えば、毎朝の定期的なミーティングを行い社員の表情を見るといったことや、重要な依頼や確認はメールではなく電話で行うといった共通行動が挙げられます。せっかく「職場」という場所に人が集まって仕事をするのですから、対面のコミュニケーションがしっかり行われる活気のある環境を構築したいものです。



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(福間みゆき)


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