具体的対応が遅れるメンタルヘルス対策

対応が遅れるメンタルヘルス対策 先日、厚生労働省から「平成19年 就労条件総合調査結果」という資料が発表されました。この中に企業のメンタルヘルスに関する対策の実施状況を示す内容が含まれていました。なかなか面白い結果が出ていますので、今日はこの内容を取り上げたいと思います。


 この調査では、慶弔見舞金制度や健康診断、社宅・独身寮など各種福利厚生制度の採用状況が集計されています。まず全体をみると、「慶弔・災害見舞金」の採用率が94.5%ともっとも多く、次いで「健康診断(がん検診等法定への上積み)」71.8%、「財形貯蓄制度」57.3%と続いています。「メンタルヘルス」は近年、労務管理における最大のポイントの一つになっていますが、この調査を見るとメンタルヘルスに関する各種制度の導入を行っているのは18.5%となっており、他の制度と比較するとまだまだ低水準に止まっていることが分かります。


 ただし、この取り組み状況については業種別の格差が大きく、「金融・保険業」や「情報通信業」では40%を超える企業が制度を持っており(業種別グラフはクリックして拡大)、対策の整備が進んでいることが伺えます。逆に捉えると、これらの業種ではメンタルヘルス不全者が多く発生している可能性が高いのではないかということも言えるのではないでしょうか。いずれにしても、今後増加が懸念されているメンタルヘルス不全の問題。福利厚生制度の範囲を超えて企業の安全配慮義務への対策の一つとしても積極的な対応が求められそうです。



関連blog記事
2007年6月15日「うつ病等のメンタルヘルス不全者への医療費助成」
https://roumu.com
/archives/50994157.html

2007年4月13日「深刻化する企業のメンタルヘルス問題」
https://roumu.com
/archives/50942271.html

2006年7月28日「年々深刻化する企業のメンタルヘルス問題」
https://roumu.com
/archives/50664577.html


参考リンク
厚生労働省「平成19年 就労条件総合調査結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/07/index.html


(宮武貴美)


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