[中国労働契約法]派遣労働契約に関する影響

 2008年1月に、中国各地で最低賃金の引き上げが実施されています。とりわけ、華南地域での引き上げ幅が大きく、中には10%を超えるケースもあるようです。その意図はインフレ対応にあります。インフレ率を超える引き上げを実施しなければ、実質所得マイナスとなるため、賃金の引き上げを行い、国民の不満を高めないようにするという政策と考えられます。インフレが最初に影響するのは低所得者層であり、続いて、低所得者層を多く雇用する製造業には、一般経費増のみならず人件費増という形で影響を与えるという構図となっています。


 今回は、労働契約法シリーズの4回目として、派遣労働への影響を取り上げたいと思います。従来より中国においては従業員を調達する際、派遣労働契約が多く用いられています。その要因としては、社会保険の手続きが煩雑であり、それを派遣会社に委託できるということや、契約上は派遣労働契約としていても、実務上何度も更新することも可能であったため、雇用契約と大差ないという事情があるように思われます。しかしながら、今回の労働契約法においては、「派遣労働契約の長期化」「派遣契約の継続禁止」「派遣労働の業務の限定」といった影響が出る可能性があります。以下ではそのポイントを列挙しましょう。



□第58条において、派遣元会社と派遣労働者の契約は2年以上とすることと規定されています。その影響として、派遣元会社が派遣先会社に契約の長期化を求めてくる可能性があります。実際に、2008年以降に派遣契約の更新時に2年契約を求められているケースがあります。
□第59条において、派遣契約においては期間を確定するものとし、分割してはならないと規定されています。この影響として、派遣契約の更新が難しくなる可能性があります。
□第66条において、派遣については、補助的・臨時的なものと限定されています。このため、常勤・継続性の高いものについては、派遣自体が認められない可能性があります。



 なお、派遣契約の期間中における解除の要件においては、労働者と同様であるため、容易に解約できないと考えるべきでしょう。上記の規定につき、実際にどこまでの運用が求められるかは不明ですが、派遣労働を使用している会社においては、今回の取り扱いについては、周囲の情報を取り込み、対応する必要があるものと思われます。



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2008年1月20日「[中国労働契約法]実務への影響が大きい経済補償金」
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2008年1月12日「[中国労働契約法]労働契約と従業員名簿」
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2008年1月7日「[中国労働契約法]就業規則策定のススメ」
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(上海名南企業管理咨詢有限公司 近藤充)


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