小規模事業場の産業医選任等をサポートする「小規模事業場産業保健活動支援促進助成金」
労働安全衛生法では、常時50名以上の労働者を使用する事業場ごとに産業医の選任を義務付けています。これにより、産業医の選任は徐々に浸透していますが、労働者50人未満の小規模事業場では、整備されていないケースが多く見受けられます。この小規模の事業場でも産業保健活動を推進させようと設けられている助成金として「小規模事業場産業保健活動支援促進助成金」があります。今日はこの助成金の概要について取り上げたいと思います。
[制度の概要]
労働者数50人未満の小規模事業場の事業者が、他の事業者と共同して産業医の要件を備えた医師を選任・契約し、職場巡視、健康診断の結果に基づく保険指導、長時間労働者への面接指導、健康教育、健康相談等の産業保健活動を実施した場合、その費用の一部が助成される。
[申請の流れおよび申請時期]
登録申請
各都道府県に設置されている産業保健推進センターに登録申請を行なう。
産業医共同選任契約、契約書の写しの提出
(1)産業保健推進センターより共同選任産業医の紹介を受ける。
(2)事業場と産業医が直接契約を締結する。
(3)契約書の写しを産業保健推進センターに提出する。
産業医による産業保健活動の実施
原則として、産業医が事業場に出向いて行なう活動が助成の対象となる。
活動実績報告・助成金支給申請書の提出
(1)産業保健推進センターに助成金支給申請書を提出する。
(2)産業保健推進センターから労働者健康福祉機構に申請がされる。
(3)労働者健康福祉機構より助成金が支給される。
[支給額]
事業場において行なわれた産業医による産業保健活動(1回あたり21,500円)
× 各年度当たり活動4回まで(上限86,000円)
[申請窓口]
各都道府県産業保健推進センター
この助成金は、平成20年4月に改正が行なわれており、以前は2以上の事業場で申請を行なわなければならなかったものが、単独の事業場でも申請できるようになり、利用しやすくなりました。平成20年4月に全事業所に適用が拡大した長時間労働者への医師による面接指導の対策も含め、なかなか整備の進まない小規模事業場でもこのような助成金を活用することは有効な対策を打つことができるかも知れません。
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2008年4月25日「正社員への転換を支援する中小企業雇用安定化奨励金」
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2008年3月25日「平成20年4月から長時間労働者への医師による面接指導の実施が50人未満の事業所でも義務化」
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(宮武貴美)
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