平成20年4月から長時間労働者への医師による面接指導の実施が50人未満の事業所でも義務化

長時間労働者への医師による面接指導 平成18年4月、改正労働安全衛生法が施行されました。職場における労働者の安全と健康の確保をより一層推進するための改正であり、11点のポイントが示されました。その多くは平成18年度中に適用になっていましたが、「長時間労働者への医師による面接指導の実施」については、常時50人未満の労働者を使用する事業場のみは平成20年4月からの適用となっていました(画像はクリックして拡大)。


 この面接指導の実施とは、時間外労働時間が100時間を超過し、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合に医師におる面接指導を義務付けたものであり、事業主は面接指導後に医師の意見を聴取し、事後措置の実施を行わなければなりません。過重労働対策・メンタルヘルス対策の一環として義務化されたこの制度ですが、その間に施行された労働契約法では第5条に「労働者の安全への配慮」が組み込まれ、この2年間で対策の重要性が増していることが分かります。これまで適用を受けなかった企業は導入をするとともに、すでに制度がある企業でも活用状況等を確認し、再度、仕組みの見直しを行うタイミングにしたいものです。


[参考条文]
労働安全衛生法 第66条の8(面接指導等)
 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
4 事業者は、第1項又は第2項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
5 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。


労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮)
 使用者は、労働契約により、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。



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2008年2月13日「平成20年4月施行 改正安衛法における定期健康診断等の項目改正」
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2006年05月22日「改正労働安全衛生法による長時間労働者の面接指導制度」
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参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/index.html
厚生労働省「改正労働安全衛生法 平成18年4月1日、施行。」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/060401.html


(宮武貴美)


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