社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン

社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン 先日、政府から「社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン~」が発表されました。今日はこの概要について取り上げましょう。まず、プランは以下の5つが掲げられています。



【プラン1】高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会

 人口減少時代を迎える中で、健康現役社会を実現するため、いくつになっても安心して働ける環境整備を図るとともに、地域で 希望を持ち健康で質の高い生活が送れるよう医療・介護・福祉サービスの充実を図る。


【プラン2】健康に心配があれば、誰もが医療を受けられる社会
 救急医療や産科・小児科医療をはじめとした地域医療の確保、医師不足や勤務医の過重労働等に対する対応が課題となる中 で、国民の医療に対する安心を確保し、将来にわたり質の高い医療サービスが受けられるよう、「安心と希望の医療確保ビジョ ン」で示した施策の実現に向けて取組を進める。


【プラン3】未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
 国民の結婚・出産・子育てについての希望と現実のかい離を解消し、未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会を実現するため に、保育サービス等の子どもと家族を支える社会的基盤を整備するとともに、子育て中の多様な働き方などを実現するための 「仕事と生活の調和」の実現を推進する。


【プラン4】派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
 非正規労働者について、正規雇用との均衡処遇の確保、能力開発支援策の充実、日雇派遣など労働者派遣法制の見直し等 の方策を講じ、非正規労働者が将来に希望を持ち、安心して働き、生活できる環境の整備を図る。


【プラン5】厚生労働行政に対する信頼の回復
 非正規労働者について、正規雇用との均衡処遇の確保、能力開発支援策の充実、日雇派遣など労働者派遣法制の見直し等 の方策を講じ、非正規労働者が将来に希望を持ち、安心して働き、生活できる環境の整備を図る。


 いずれも社会的問題となっている事項への対策が掲げられています。具体的な検討課題も各プランごとに掲げられており、以下のように企業の人事労務に関連することもいくつも挙げられています。
育児・介護休業法の見直し
□子の看護休暇制度を子どもの人数に配慮したものとする等の育児・介護休業法の見直しの検討を進め、必要な措置を講ずる


パートタイム労働法に基づく正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進等
□助言指導等による均衡待遇の確保や正社員化に取り組む事業主への支援、短時間正社員制度の導入支援


有期契約労働者の正社員化等の支援
□正社員化への支援に加え、フルタイムの有期契約労働者に、正社員と共通の処遇制度等の導入を行う中小企業に対する支援
□有期契約労働者の雇用管理改善のためのガイドラインを活用した相談・指導等の実施


非正規労働者に対する社会保険の適用拡大
□継続審議中の被用者年金一元化法案の早期成立を目指すとともに、その後更に社会保険が適用される者を増やす方策について検討


労働者派遣法制の見直し等
□派遣で働く労働者が安心・納得して働くことができるよう、日雇派遣の規制など派遣労働者の待遇の改善を図るための労働者派遣法制の見直しを検討し、臨時国会への法案提出を目指す
□偽装請負・違法派遣の一掃のための指導監督の徹底
□ハローワークの機能強化による日雇派遣労働者等の安定した就職に向けての支援、職場定着指導の実施


 今後、どこまで具体化するかは未知数ではありますが、大きな方向性として注目していく必要があるでしょう。



関連blog記事
2008年7月30日「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書のポイント」
https://roumu.com
/archives/51381423.html

2008年7月22日「見直しが検討されている健康保険被扶養者の範囲の拡大」
https://roumu.com
/archives/51376562.html

2008年7月18日「平成23年4月の被保険者範囲拡大が議論される短時間労働者の社会保険適用」
https://roumu.com
/archives/51373691.html

2008年7月7日「厚労省研究会が今後の育児休業制度の拡充を提言」
https://roumu.com
/archives/51365167.html


参考リンク
首相官邸「社会保障の機能強化のための緊急対策~5つの安心プラン(本文)」
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2008/0729honbun.pdf


(宮武貴美)


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