導入が進められる非正社員から正社員への登用制度

導入が進められる非正社員から正社員への登用制度 平成20年4月1日に施行された改正パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、短時間労働者に関し、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じなければならないと定めました。その中の一つとして正社員への登用制度の導入がありますが、先日、非正社員から正社員への登用制度の有無および登用実績に関する調査結果が公表されました。


 この調査(厚生労働省「平成19年企業における採用管理等に関する実態調査」)は、全国の常用労働者30人以上を雇用する民営企業のうちから、一定の方法で無作為に抽出した約7,000企業を対象に実施されたものですが、これによれば非正社員から正社員への登用制度の有無およびび登用実績については、「制度があり、登用の実績もある」が27.8%、「制度はあるが、登用の実績はない」が5.3%、「制度はないが登用の実績はある」が37.6%、「制度がなく、登用の実績もない」が29.1%となっています(グラフはクリックして拡大)。


 企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほど「制度があり、登用の実績もある」企業割合が高くなっていますが、これからは安定的な人材確保という意味からも、登用制度を整備する企業が増加することでしょう。


[関連法規]
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第12条(通常の労働者への転換)
 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
三 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
2 国は、通常の労働者への転換を推進するため、前項各号に掲げる措置を講ずる事業主に対する援助等必要な措置を講ずるように努めるものとする。



関連blog記事
2008年8月10日「チェックしておきたい有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」
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2008年5月22日「契約社員の年収見込み額平均は340万円」
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2007年9月18日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント3 通常の労働者への転換の推進」
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参考リンク
厚生労働省「平成19年企業における採用管理等に関する実態調査-結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/saiyo-kanri/2007/index.html#hiseisha
厚生労働省「パートタイム労働法が変わりました!~平成20年4月1日施行~」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html


(大津章敬)


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