雇用調整助成金等の計画従業員数 1ヶ月間で15倍に急増

雇用調整助成金等の計画従業員数 1ヶ月間で15倍に急増 急激な企業業績の低迷により、雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金(以下、「雇用調整助成金等」)の申請が全国で急増していますが、先週、厚生労働省は平成20年12月の都道府県労働局別における雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届受理状況を発表しました。


 まず12月の全国での雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届受理数は事業所数1,795社・対象者数133,321名(内訳は大企業が85社・32,545名、中小企業が1,710社・100,776名)という結果になりました。なお、その前月である11月は合計で事業所数199社・対象者数8,873名でしたので、1ヶ月で事業所数は9倍、対象者数は15倍にまで急増しています(グラフはクリックして拡大)。これは12月1日から、従来の雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和すると共に助成率を引き上げ、また新たに中小企業緊急雇用安定助成金を創設した結果ではありますが、この助成金制度の拡充によって、全国的に企業の一時帰休が急速に進んだことを表しています。


 一方、計画受理数上位は対象者数で見ると愛知(9,424名)、福島(9,183名)、長野(8,144名)、島根(7,348名)、岡山(7,011名)となっており、サービス業の比率が高い都市部よりも地方の方がこの助成金の活用が積極的に行われていることが分かります。ちなみに首位の愛知県ですが、この助成金の窓口である「あいち雇用助成室」の窓口は完全にパンク状態になっており、早朝7時頃から順番待ちの列ができ、待ち時間は最大4時間程度にまでなっています。今後、中小企業緊急雇用安定助成金の支給申請がスタートすると更に混乱に拍車がかかることは確実で、助成金の申請に関し、大きなトラブル・混乱が発生することが懸念されます。


 なお、この助成金に関しては、今月中にも「暦月又は賃金締切期間(判定基礎期間)における休業の延日数が所定労働延日数の20分の1(雇用調整助成金の場合は15分の1)以上となるものであること」という、いわゆる20分の1要件が撤廃され、より受給しやすくなる予定です。現時点ではまだ報道レベルですが、正式に発表されましたら当ブログでも最速でお伝えしますので、今後もチェックしてみて下さい。


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参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届受理状況」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0130-6.html


(大津章敬)


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