6ヶ月以上遡って雇用保険に加入する際には遅延理由書の添付が必要に
1月21日のブログ記事「改正雇用保険法案が昨日閣議決定 雇用保険適用範囲が拡大へ」でも取り上げたとおり、4月より雇用保険法の改正が予定されていますが、雇用保険の資格取得手続きに関して、6ヶ月以上遡って手続きを行う場合には遅延理由書の添付が必要となりましたので、今回はこの情報をお伝えしたいと思います。
新しく従業員を雇い入れ、雇用保険の被保険者資格を取得する際には、翌月の10日までに雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出しなければならないとされています。この提出を怠り、提出期限より6ヶ月以上経過してしまった際には、遅延理由を記載した書面を添付することが必要となりました。これまでは口頭での確認がされていましたが、適正な届出・手続きの推進や不正受給防止の観点から書面での確認へと強化されました。この取扱いは全国斉一的に行われます。今回、遅延理由書の添付が必要となった背景には、今般受給申請が殺到している雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金の支給申請の際に、長期間遡って雇用保険に加入するケースが増加していることがあるのではないかと思われます。
遅延理由書の様式は任意のものでよいこととなっていますが、厚生労働省職業安定局より様式例が発表されておりますので、そちらの様式を以下よりダウンロードできるように致しました。是非ご活用ください。
Downloadはこちらから
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55233114.html
[関連通達]
雇用保険被保険者関係届の遡及確認に係る取扱いについて(職雇発第0206001号 平成21年2月6日)
標記について、雇用保険被保険者の資格取得の遡及確認に係る事務取扱については、業務取扱要領〔雇用保険適用関係〕20705(5)ロにより、お示ししているところであるが、今後においては、同取扱要領によるほか、下記の事項に留意しつつ取り扱うようよろしくお願いする。
1 雇用保険被保険者資格取得届の確認要領
業務取扱要領〔雇用保険適用関係〕20705(5)口においては、「被保険者資格を取得した年月日について、相当期間遡って確認する必要があるときは、関係書類との照合等による調査を特に慎重に行う」こととされているところであるが、適正な届出・手続の推進や不正受給の防止の観点から、遡及して雇用保険被保険者資格取得届がなされた場合には、以下のとおり確認等を行うこと。
(1)「遅延理由書」の提出について
雇用保険被保険者資格取得届については一定の期限までに提出すべきであり、適正な手続を促す観点から、届出期限を徒過した場合には、事業主から、書面(別紙1(様式例)参照。以下「遅延理由書」という。)により、手続が遅れた理由について疎明させることとする(原則、6ケ月以上の遡及確認手続について同理由書を提出させることとする。)。その際、事業主に遅延理由書の提出を求める場合には、雇用保険の適正な届出・手続の推進の観点から求めるものであることについて、必要に応じて、書面を交付しつつ、届出期限の徒過は法令で規定された義務に違反するものであること等を示すなどにより説明し理解を得ること。なお、遅延理由書の内容等から、資格取得届の内容が疑われる場合には、実地調査を行うこと。
(2)遡及確認履歴の管理について
遡及確認を行った届出については、その履歴を明らかにするため、届出に係る被保険者の「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」(様式第4号)の安定所備考欄に、1)遡及確認を行った届出であること、2)確認通知年月日(原則として入力処理日となる)を適宜の方法(※参照)により明記すること。なお、不正受給の防止を徹底する観点から、資格取得届受理時に交付した様式第4号の遡及確認履歴が失われないよう、交付後、事業主から様式第4号の再交付手続、紛失等を理由とした移行処理用の様式第4号による喪失届による手続が行われる場合には、030データにより遡及取得の有無を確認し、新たに交付する様式第4号の安定所備考欄にも、遡及確認履歴を記録することにより、資格喪失届が行われるまで遡及確認履歴を継続させることが考えられること。
(※)遡及確認履歴について
様式第4号の右下には、安定所備考欄が設けられているが、2)確認通知年月日については、同欄の通知年月日欄に記入する他、1)遡及確認を行った届出であることについては、確認通知年月日の記入を赤色で行うことや、同欄に○遡といった記録を行うことにより明記することが考えられること。
2 雇用保険被保険者資格喪失届の確認要領
安定所備考欄に遡及確認履歴がある雇用保険被保険者資格喪失届がなされた場合には、遡及確認履歴に記録された確認通知年月日と、喪失届が行われた日や離職年月日との相互関係等に留意し、慎重に確認を行うとともに、不正受給が疑われる場合には、速やかに実地調査を行うこと。なお、不正受給が疑われるものとしては、次のような場合が考えられる。
(1) 喪失届の離職年月日が遡及確認履歴の確認通知年月日よりも前である場合
(2)遡及確認履歴の確認通知年月日と喪失届のあった日が接近している場合
3 その他
遡及した手続を行う事業主に対しては、以後は提出期限を守り、適正な手続を行うよう指導啓発を行うこと。また、遡及確認を行った場合には、申告・納付期限が未到来の労働保険料について申告・納付手続を行うよう当該事業主に指導するとともに、労働局の労働保険徴収主務課主に対し、申告・納付期限が既に到来している労働保険料について認定決定を行うよう情報提供するなど、適切な対応をとること。
関連blog記事
2009年3月9日「遅延理由書(雇用保険資格取得届)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55233114.html
2009年3月7日「平成21年1月に激増した雇用調整助成金の申請」
https://roumu.com
/archives/51512930.html
2009年2月28日「[ワンポイント講座]出向先で役員となった従業員の労災保険・雇用保険の取扱い」
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/archives/51510404.html
2009年2月21日「[ワンポイント講座]小規模事業所の法人代表者が業務上で怪我をした場合の給付の特例」
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/archives/51506938.html
2009年2月20日「[速報]4月からの労災保険料率決定 保険料率表のダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/51506533.html
2009年1月21日「改正雇用保険法案が昨日閣議決定 雇用保険適用範囲が拡大へ」
https://roumu.com
/archives/51489035.html
2009年1月9日「平成21年度より申告・納付時期が変更となる労働保険の年度更新」
https://roumu.com
/archives/51482172.html
(佐藤和之)
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