改正雇用保険法案が昨日閣議決定 雇用保険適用範囲が拡大へ
雇用保険法等の一部を改正する法律案の今国会への提出が昨日、閣議決定されました。これにより改正雇用保険法は今年の4月1日(育児休業給付の見直しについては平成22年4月1日)施行に向け、具体的に動き出しました。以下ではこの法案のポイントを取り上げることとしましょう(画像はクリックして拡大)。
非正規労働者に対するセーフティネットの機能の強化
労働契約が更新されなかったため離職した有期契約労働者について、
○受給資格要件を緩和: 被保険者期間12か月→6か月(解雇等の離職者と同様の扱い)
◎給付日数を解雇等による離職者並に充実
○雇用保険の適用基準である「1年以上雇用見込み」を「6か月以上雇用見込み」に緩和し、適用範囲を拡大
再就職が困難な場合の支援の強化
◎解雇や労働契約が更新されなかったことによる離職者について、年齢や地域を踏まえ、特に再就職が困難な場合に給付日数を60日分延長(例えば所定給付日数が90日の場合→150日)
安定した再就職へのインセンティブ強化
◎早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」の支給要件緩和・給付率の引上げ(給付率について、30%→40%又は50%)
◎就職困難者(障害者等)が安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」について対象範囲を拡大(年長フリーター層を追加)・給付率の引上げ(30%→40%)
育児休業給付の見直し
○平成22年3月末まで給付率を引き上げている暫定措置(40%→50%)を当分の間延長
○休業中と復帰後に分けて支給している給付を統合し、全額を休業期間中に支給
雇用保険料率の引下げ
○失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半)を平成21年度に限り、0.4%引下げ(1.2%→0.8%)
施行期日:平成21年4月1日(育児休業給付の見直しについては平成22年4月1日)
なお、◎の項目は3年間の暫定措置となっています。今回の法改正では、雇用保険の適用基準の緩和や育児休業給付の見直しなど、実務にも大きく影響を与える内容が多く含まれているため、実務家のみなさんにとっては重要な改正となることでしょう。
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2008年12月19日「[速報]雇用保険料率0.4%引き下げを含む緊急雇用対策発表」
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参考リンク
雇用保険法等の一部を改正する法律案
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0120-1.html
(大津章敬)
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