改正労働基準法の省令案要綱が明らかに
先週の木曜日(2009年3月5日)、厚生労働省は「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」等を労働政策審議会に諮問しました。そこで本日はこの省令案要綱のポイントについて取り上げることとしましょう。
代替休暇
今回の改正労働基準法では月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金を支給する必要があるとし、その上でその引上げ分の支払に代わる代替休暇を付与できることとしていますが、この代替休暇について労使協定を締結する際の事項を定めています。
(1)代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
(2)代替休暇の単位(1日または半日)
(3)代替休暇を与えることができる期間(60時間を超えた当該1ヶ月の末日の翌日から2ヶ月以内)
(1)の算定方法は1ヶ月について60時間を超えて時間外労働をさせた時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率との差に相当する率(換算率)を乗じる。また割増賃金の引上げ分の支払いが不要となる時間は、労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする。
特別条項付き時間外労働協定
今回の改正労働基準法では月45時間を超える時間外労働について25%を超える割増率を定める努力義務を課していることもあり、いわゆる36協定の特別条項に関するルールが定められています。
(1)特別条項付き時間外労働協定では、限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めなければならない。
(2)労使当事者は、特別条項付き時間外労働協定を締結する際には、限度時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めなければならない。
(3)労使当事者は、(1)により限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めるに当たっては、時間外労働について25%を超える率とするように努めなければならない。
時間単位年休
時間を単位として付与する年次有給休暇に係る労使協定で定める事項は以下のとおりです。
(1)時間単位で付与することができる年休1日の時間数(1日の所定労働時間数を下回らないようにしなければならない)
(2)1時間以外の単位で年休付与をする場合にはその時間数
使用者は時間単位年休として与えた時間については、平均賃金もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金または標準報酬日額をその日の所定労働時間数で除して得た金額を、当該時間に応じて支払うものとする。
関連blog記事
2008年12月24日「改正労働基準法のパンフレット ダウンロード開始」
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2008年12月16日「改正労働基準法に関する最初の通達が発出」
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2008年12月5日「割増率引上げを中心とした改正労働基準法成立 平成22年4月1日に施行」
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参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会に対する「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」等の諮問について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0305-2.html
(大津章敬)
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