過去最大規模の内定取消と急速に減退する新卒者の採用意欲

過去最大規模の内定取消と急速に減退する新卒者の採用意欲 雇用危機が叫ばれる中、新卒者の内定取消が過去最大の規模で行われています。厚生労働省の取りまとめ(平成21年2月19日現在)によれば今年度の採用内定取消し件数は342事業所1,574人と、山一ショックで内定取消が社会問題となった平成10年3月卒の際の実績を大きく超えています。このような状況から現在採用活動が行われている2010年の新卒者についても採用意欲の減退が懸念されていますが、これに関連して先日、東京商工会議所は毎年実施している「新卒者等採用動向調査」の結果を公表しました。この調査は、同会議所の会員中堅・中小企業5,000社を対象に実施されたもの。以下では今春および来春の新卒者の採用予定について見ていくこととしましょう。



[今春(2009年4月)の新卒採用予定]]
 まず今春(2009年4月)の新卒採用について、「採用予定あり」と回答した企業は55.6%(478社)で、前年比4.9ポイントの減少となっています。また、採用人数が前年を「上回った」企業は39.0%で前年比3.5ポイント減少、「下回った」企業は36.6%で5.3ポイント増加となり、採用意欲の減退傾向が現れ始めています。


[来春(2010年4月)の新卒採用予定]]
 これに対し、来春(2010年4月)の採用動向について、「採用予定あり」と回答した企業は41.3%で、前年比12.4ポイントの大幅減となっています(画像はクリックして拡大)。また「採用予定なし」も29.2%で前年比10.6ポイント増加しており、企業の採用抑制傾向が強まっていることが分かります。


 バブル崩壊後の極端な採用抑制が企業の人事管理に様々な矛盾や課題を残したことの反省から、全体としては比較的冷静な対応がなされていると感じますが、多くの企業で雇用調整と春闘、そして新卒採用活動が同時に行われているこの時期は人事担当者にとって悩みが尽きない日々となっていることでしょう



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2008年12月3日「[ワンポイント講座]業績悪化を理由とする新卒の内定取消を行う際の留意点」
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参考リンク
東京商工会議所「2009年新卒者等採用動向調査について」
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/chosa/2008/210310.html
厚生労働省「新規学校卒業者の採用内定取消し状況について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/02/h0227-2.html


(大津章敬)


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