[雇用機会均等法]男女雇用機会均等法で禁止されている性別による直接差別(1)

直接差別の例 昭和47年7月1日、男女雇用機会均等法が施行されました。近年ではこの法律の存在も周知が進み、女性を幹部に積極登用する企業やセクシュアルハラスメント対策に力を入れる企業が増えてきました。しかし一方では「育休切り」というような新しい言葉が登場するなど、まだまだこの法律が想定している労働環境の実現には多くのハードルが残されています。そこで本日から、施行35年を迎えた男女雇用機会均等法の特集を数回に亘って行うこととします。初回となる本日は、同法が禁止している性別による差別について取り上げてみましょう。


 性別による差別については、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(以下、本連載では「指針」という)において「直接差別」「間接差別」に分類され、その事例が詳しく挙げられています(画像はクリックして拡大)。この内、直接差別としては、募集・採用、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種の変更、雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新が挙げられており、これら各雇用ステージにおける性別を理由とする差別を禁止しています。近年はこの点に関する企業の意識は高まってきており、従来に比べれば大きな改善が見られると思われますが、例えば接遇研修の対象を女性労働者のみにすることなどは、もしかすると慣行的に行われている可能性があります。また、昇進試験を受験させる際に、男女において受験の要件の差はつけていないものの、実際には上司が男性のみに受験を促しているケースなども想定されます。


 法律の周知や労働者の意識の変化により、制度上の差別は減少してきていると思われますが、今後は運用上の差別に対し、目を向けていかなければならないでしょう。


[参考条文]
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第5条(性別を理由とする差別の禁止)
 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。


同 第6条
 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
三 労働者の職種及び雇用形態の変更
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新


同施行規則 第1条(福利厚生)
 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第六条第二号 の厚生労働省令で定める福利厚生の措置は、次のとおりとする。
一 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付け
二 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付
三 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付
四 住宅の貸与



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2008年9月24日「職階の差がもたらす男女間の賃金格差」
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2007年2月22日「平成19年4月に行われる労働関連法改正のポイント~健康保険法・雇均法の改正(2/2)」
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2006年7月23日「平成19年4月に施行される改正男女雇用機会均等法のポイント」
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参考リンク
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/danjyokoyou.html


(宮武貴美)


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