[改正労基法]労使協定を締結せず実施された時間単位年休の有効性

 2009年10月9日のブログ記事「[改正労基法]割増賃金率引上げに伴う労働条件通知書見直しの必要性」以降続けている改正労基法の厚生労働省質疑応答特集も4回目となりますが、本日は最後のテーマ(4)時間単位年休について取り上げましょう。


 時間単位年休は、労使協定により1年に5日を上限として年次有給休暇を時間単位で付与することができるという制度です。特に育児や介護に時間を割く必要のある労働者にとって有効な制度と考えられ、仕事と生活の調和を図る観点から導入がなされます。この制度の採用においてはその前提として過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を締結することが求められていますが、仮にこの労使協定がないままに、時間単位年休を導入した場合にはどのような取扱いになるのでしょうか。これに関し、質疑応答では「法的な年次有給休暇として扱われず、法定の年次有給休暇の日数の残数は変わらないと解」することとしています。


 これまでも労働者からの要望に基づき、時間単位年休を導入している事業所もあるかも知れませんが、法律上、有効な時間単位年休を導入するためには、労使協定の締結は不可欠であり、この改正の機会に改めて確認し、整備する必要があるでしょう。


[質疑応答該当部分]
Q29
 たとえ使用者が容認していたとしても、労使協定のない、あるいは協定の限度を超える時間単位年休の取得については、法的な年次有給休暇の取得として扱われず、法定の年次有給休暇の日数の残数は変わらないと解してよいか。
A29
 貴見のとおり。



関連blog記事
2009年10月16日「[改正労基法]代替休暇取得の意思確認はどこまで必要か」
https://roumu.com
/archives/51635910.html

2009年10月15日「[改正労基法]1ヶ月60時間の計算対象となる法定休日の取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51635670.html

2009年10月9日「[改正労基法]割増賃金率引上げに伴う労働条件通知書見直しの必要性」
https://roumu.com
/archives/51633798.html


参考リンク
厚生労働省「労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html
厚生労働省「改正労働基準法に係る質疑応答」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1k.pdf


(宮武貴美)

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