[改正労基法]1ヶ月60時間の計算対象となる法定休日の取り扱い

 2009年10月9日のブログ記事「[改正労基法]割増賃金率引上げに伴う労働条件通知書見直しの必要性」では先日、厚生労働省から公表された改正労働基準法の質疑応答の中から(1)時間外労働の労働条件明示との関係について取りあげました。本日はその第2回として、(2)法定割増賃金に関する事項を取りあげましょう。


 改正労基法では、1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対して、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとしています。この1ヶ月60時間の法定時間外労働の計算には、1週間に1日または4週に4回の法定休日労働は含まず、法定休日以外の休日労働は含むことになっています。ここで法定休日と定めている日曜日に労働し、法定休日以外の休日である土曜日は予定どおり休日を取得できたケースはどのように算定するのかという疑義が生じます。今回の質疑応答によれば、この場合の時間外労働の算定については、日曜日が法定休日と特定されている以上、日曜日に労働しても含まなくともよいとされています。


 一方、1週間(日曜日~土曜日)のうち日曜日と土曜日を休日としつつも、法定休日を特定していないケースで、日曜日・土曜日ともに労働した場合、日曜日・土曜日のどちらを法定休日となるかが問題となります。これに関しては、この1週間(日曜日~土曜日)で後に位置する土曜日が法定休日となるとされています。つまり、このケースでは土曜日が法定休日とされ、日曜日に労働した時間を1ヶ月60時間の時間外労働の計算に含むことなります。なお、休日については、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいとされています。


[質疑応答該当部分]
Q10

 日曜日及び土曜日の週休2日制の事業場において、法定休日が日曜日と定められている場合、日曜日に労働し土曜日は労働しなかった場合も、割増賃金計算の際には日曜日を法定休日と取り扱い、日曜日の労働時間数を「1箇月60時間」の算定に含めないこととしてよいか。また、法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合、割増賃金計算の際にはどちらを法定休日労働として取り扱うこととなるのか。4週4日の変形休日制をとっている場合はどうか。
A10
 法定休日が特定されている場合は、割増賃金計算の際には当該特定された休日を法定休日として取り扱い、法第37条第1項ただし書の「1箇月60時間」の算定に含めないこととして差し支えない。法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。


[関連法規]
労働基準法 第35条(休日)
 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。


労働基準法 第36条(時間外及び休日の労働)
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4 行政官庁は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。


労働基準法 第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。



関連blog記事
2009年10月9日「[改正労基法]割増賃金率引上げに伴う労働条件通知書見直しの必要性」
https://roumu.com
/archives/51633798.html

2009年7月1日「[改正労基法](15)時間単位年休取得時に支払う賃金」
https://roumu.com
/archives/51579713.html

2009年6月30日「[改正労基法](14)時間単位年休を計画的付与に組み込むことは可能か?」
https://roumu.com
/archives/51579708.html

2009年6月29日「[改正労基法](13)時間単位年休と時季変更権行使」
https://roumu.com
/archives/51575381.html

2009年6月26日「[改正労基法](12)時間単位年休の取得単位」
https://roumu.com
/archives/51575372.html

2009年6月25日「[改正労基法](11)時間単位年休の1日の時間数の考え方」
https://roumu.com
/archives/51574128.html

2009年6月24日「[改正労基法](10)時間単位で年休付与日数と翌年度に繰り越す場合の注意点」
https://roumu.com
/archives/51574127.html

2009年6月23日「[改正労基法](9)代替休暇を取得できなかった場合の対応」
https://roumu.com
/archives/51574122.html

2009年6月22日「[改正労基法](8)代替休暇取得の意向確認」
https://roumu.com
/archives/51574115.html

2009年6月19日「[改正労基法](7)代替休暇における「半日単位」の実務的取扱い」
https://roumu.com
/archives/51572531.html

2009年6月18日「[改正労基法](6)代替休暇の時間数の算定」
https://roumu.com
/archives/51572516.html

2009年6月17日「[改正労基法](5)代替休暇の付与単位と取得期間」
https://roumu.com
/archives/51570839.html

2009年6月16日「[改正労基法](4)引上げ分の割増賃金の支払に代えた代替休暇の付与要件」
https://roumu.com
/archives/51570771.html

2009年6月15日「[改正労基法](3)特別条項付きの三六協定で新たに定めなければならない項目」
https://roumu.com
/archives/51570735.html

2009年6月11日「[改正労基法](2)法定割増賃金率引上げが猶予される中小企業とは」
https://roumu.com
/archives/51568433.html

2009年6月10日「[改正労基法](1)法定割増賃金率引き上げと所定休日労働の関連」
https://roumu.com
/archives/51567812.html

2009年6月8日「改正労働基準法の施行にかかる通達・省令・告示が発出」
https://roumu.com
/archives/51565876.html


参考リンク
厚生労働省「労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html
厚生労働省「改正労働基準法に係る質疑応答」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1k.pdf


(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。