職場における受動喫煙防止対策に関する報告書案のポイント

職場における受講喫煙防止対策に関する報告書案 職場において喫煙者の肩身は年々狭まっていますが、厚生労働省では職場における受動喫煙防止対策に関する検討会を立ち上げ、これまで様々な議論を行なってきています。先日、この検討会より「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 報告書(案)」が公表されましたので、本日はその中から職場における受動喫煙防止対策に関するポイントをご紹介しましょう。


基本的方向
・有害性の認識や受動喫煙を取り巻く環境の変化を前提に、今後は快適職場形成という観点ではなく、労働者の健康障害防止という観点から対策に取り組むことが必要である。
・職場は労働者が選択することが容易でなく、しかも一定の時間拘束されること、また事業者の安全配慮義務を根拠として労働安全衛生法において、労働者の健康障害防止に着目した受動喫煙防止対策を規定することが必要である。


具体的措置
(1)一般の事務所、工場等における措置
・全面禁煙または空間分煙とすることが必要である。
・空間分煙については、一定の要件を満たす喫煙室の設置が必要となるが、その基準は平成14年に取りまとめられた「分煙効果判定基準」における喫煙室内の浮遊粉じん濃度および一酸化炭素濃度と、喫煙室と喫煙室以外の場所との境界の浮遊粉じん濃度と風速の規定に沿って判断することが適当である。
(2)顧客が喫煙するため、(1)の措置が困難な職場における措置
・飲食店、ホテル・旅館等の宿泊施設等の場所においても、顧客にサービスを提供する労働者の受動喫煙防止という観点から(1)に掲げた措置をとることが必要である。
・現時点においては、顧客に対して禁煙等とすることを一律に事業者に求めることは困難であるが、事業場の状況に応じ、事業場に占める喫煙区域の割合を少なくし、当該喫煙区域からのたばこ煙の漏れを防ぐとともに、当該喫煙区域における換気等による有害物質濃度の低減、適当な場合は保護具の着用等の措置により、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることが必要である。
・措置の効果を評価できるように、換気量や何らかの濃度基準等の設定を検討することが必要である。
(3)その他の対策
・喫煙区域または禁煙区域を明確に示すための区域分けの表示等を行い、労働者等に周知することが必要である。
・受動喫煙防止対策の取組を円滑かつ継続的に実施するため、事業者および労働者に対して、受動喫煙による健康影響について教育を行うことが重要である。
・事業場において受動喫煙防止対策の取組を進めるため、事業場内で行う受動喫煙防止対策の取組について、これを検討する組織や責任者を明確にするなど、体制整備を行うことが必要である。
・建物内を全面禁煙にする事業場については、屋外に喫煙所等を設置することが考えられるが、その場合には、たばこ煙が屋内に流入しないことや付近を通る労働者がたばこ煙にばく露しないような措置をとることが必要である。


 このように受動喫煙による労働者の健康障害防止に向け、今後は労働安全衛生法の改正が見込まれます。愛煙家にとってはますます厳しい時代になると共に、企業においても一層踏み込んだ対応が求められることとなります。



関連blog記事
2008年9月22日「進められる企業のたばこ対策~88.5%の事業所で禁煙・分煙措置を実施」
https://roumu.com
/archives/51412076.html

2007年6月6日「89.4%の企業が職場の分煙・禁煙を実施」
https://roumu.com
/archives/50989032.html

2006年6月8日「一段と進められる健康増進法による喫煙対策」
https://roumu.com
/archives/50592250.html


参考リンク
職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 報告書(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0428-10c.pdf


(大津章敬)



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