前年比2.9倍と激増した東京労働局における賃金不払事案の不払金額
一昨年の経済危機以来、企業の倒産や業績の悪化が深刻化していますが、そうした環境を背景に企業の賃金不払いが深刻な状況になっていることが明らかになりました。先日、東京労働局が発表した「平成21年賃金不払事案(申告事件)の処理状況の概要」によれば、賃金不払いに関して労働者から労働基準監督署等に対し、労働関係法令の違反事実の通告がなされた、いわゆる「申告」事案は以下のとおり、大幅に増加しています。
不払事案件数
5,026件(前年比+1,327件 +36%)
対象労働者数
10,506人(前年比+3,427人 +48%)
対象不払金額
110億3424万円(前年比+72億6221万円 2.9倍)
このように賃金不払事案は前年から激増し、件数、労働者数、不払い金額とも過去10年間で最多となっています。また大型事案の状況を見ると、労働基準監督署の指導による解決事案のうち、1企業での最多労働者数は1,158名、最多不払金額は3,058万円となっています。今回はこうした大型事案が多かったことが一つの特徴ではないかと思われますが、1月以降も中小企業を中心に厳しい経営環境が続いていることから、今年についても同様の問題が頻発することが予想されます。昨日の大熊ブログ「未払い残業代請求問題というのはどのようなものですか?」でも取り上げたように未払い残業代請求問題の拡大が懸念される中、心配な状況が続いています。
関連blog記事
2010年5月17日「未払い残業代請求問題というのはどのようなものですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65357072.html
2010年5月12日「無料セミナー「急増が予想される未払残業代請求から会社を守る具体的ポイント」愛知・岐阜・三重の9会場で開催」https://roumu.com
/archives/51733499.html
2009年10月26日「平成20年度のサービス残業是正支払額は1,553社で196億円」
https://roumu.com
/archives/51642201.html
2008年10月31日「平成19年度のサービス残業是正支払額は1,728社で272億円」
https://roumu.com
/archives/51440408.html
2007年12月7日「対応が遅れる労働時間の適正な把握と懸念される調査の増加」
https://roumu.com
/archives/51186435.html
参考リンク
東京労働局「平成21年賃金不払事案(申告事件)の処理状況の概要」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2010/20100514-hubarai/20100514-hubarai.pdf
(大津章敬)
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