[ワンポイント講座]育児休業中に会社が倒産した場合の育児休業給付金の取扱い

 今年4月1日より育児休業給付金制度が変更されています。以前は休業開始時賃金日額の30%を支給する「育児休業基本給付金」と職場復帰後6ヶ月経過した際に休業開始時賃金日額の20%を支給する「育児休業者職場復帰給付金」から構成されていましたが、これらが統合され「育児休業給付金」として支給されることになりました。また、6月30日施行の改正育児・介護休業法に伴い、今後はパパ・ママ育休制度を利用した場合についても一定の要件を満たしていればが1歳2ヵ月に達する日の前日までの間、1年まで育児休業給付金を受給できるようになります。


 この改正育児・介護休業法の施行により、国は仕事と子育てを両立しやすい環境づくりを目指していますが、一昨年の秋以降の雇用危機の波を受け、ここ最近は育児休業をする従業員は大きな雇用不安を抱えたり、休業の途中で万が一、会社が倒産することはないかと心配しながら育児休業に入るようなケースも増えています。そこで今回のワンポイント講座では、育児休業の途中で会社が倒産した場合の取扱いについて解説しましょう。


 そもそもこの育児休業給付は高年齢雇用継続給付や介護休業給付同様、雇用保険の雇用継続給付の中で支給されているものです。この雇用継続給付はあくまで「雇用を継続する」ための給付金であることから、会社が倒産してしまい、将来に向かってその雇用の見込みがまったくなくなれば育児休業給付金を受給することはできないということになります。ちなみに、平成22年3月31日以前に育児休業を取得した者については旧制度の適用となりますが、この場合も同様に会社が倒産してしまうと給付が受けられなくなります。


 雇用不安が続いていますが、会社としては雇用調整助成金を活用するなどして従業員の雇用を最大限に守り、従業員が安心して働くことのできる環境をつくっていくことが求められています。



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(福間みゆき)


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