更に強化される雇用調整助成金に係る不正受給防止対策
急激な経営環境の悪化により雇用調整助成金等の申請が急増してから、早いもので1年半が経過します。この助成金については、相当数の不正受給が行なわれていると言われていますが、実際に平成21年度においては91事業所、約7億355万円の処分が行われており、中でも悪質なものについては、刑事告発も行われています。
こうした状況を背景として、先日、厚生労働省より「雇用調整助成金に係る不正受給防止対策の強化【第2弾】について」という資料が発表され、以下の対応が行われることとなりました。
実地調査の強化
実地調査の中でも以下に該当する事業所については、必ず実地調査が行われれます。
(1)事業主が自ら実施する事業所内訓練の実施日数が多い事業所
(2)ある程度業務量があると推察されるにもかかわらず休業の実施日数が多い事業所
(3)休業等を実施する一方で合理的な理由なく雇用する労働者数が増加している事業所
効果的な立入検査の徹底
不正が疑われる事業所について、厚生労働省が効果的な立入検査のノウハウを収集・分析し、その成果について立入検査担当者を研修し、全国でより効果的な立入検査の実施を徹底させる。
雇用調整助成金等については助成金額が高額になることに加え、度重なる要件緩和が行われたこともあり、不正受給が問題になっていました。不正処分の件数を見ても、このような対策が行われることは当然であり、今後も適正な助成金申請が求められるところです。
関連blog記事
2010年5月24日「雇用調整助成金 口蹄疫被害拡大に伴う事業活動縮小にも適用拡大」
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2010年5月5日「中小では高止まりするも大企業では減少が著しい雇用調整助成金の対象者数」
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2010年4月9日「4月より変更されている雇用調整助成金における教育訓練の申請方法」
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2010年4月8日「平成22年4月より教育訓練の実施に係る取扱いを変更(雇用調整助成金)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50843410.html
2010年3月31日「雇用調整助成金の不正受給調査が4月から強化されます」
https://roumu.com
/archives/51715834.html
参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金に係る不正受給防止対策の強化【第2弾】について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000007emy.html
(宮武貴美)
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