厳しさを増す高校生の求人 来春卒業者の求人倍率は前年比△0.04ポイントの0.67倍
先日、厚生労働省より「平成22年度高校・中学新卒者の求人・求職状況(平成22年7月末現在)について」が発表され、平成23年3月に卒業を予定する高校生の求人倍率が0.67倍となったことが明らかになりました。高校生の求人倍率は昨年、0.71倍(一昨年は1.31倍)に急落し、売り手市場から一転買い手市場へ激変しましたが、来春についても更にその厳しさを増しています。
[平成23年3月高校新卒者の求人・求職状況]
・求人数は12万5千人で、前年同期に比べ7.6%減少
・求職者数は18万7千人で、前年同期に比べ2.3%減少
・求人倍率は0.67倍となり、前年同期を0.04ポイント下回る
都道府県別の求人倍率をみてみると、トップは東京の2.23倍、次いで大阪の1.40倍、愛知の1.21倍、京都の1.11倍、広島の1.06倍となっており、全国で1倍を超えているのはわずかこの5都府県のみとなっています。これに対し、もっとも低いのは沖縄の0.12倍、次いで青森の0.21倍、熊本の0.22倍、鹿児島の0.23倍、宮崎の0.25倍となっており、大分を除く南九州が特に厳しい状況であることが分かります。一時期に比べ多少格差は小さくはなりましたが、依然として地域格差が大きいことが明らかにされています。
厚生労働省では、このように新規学校卒業者の就職環境が引き続き厳しい状況となっている現状を踏まえ、「新成長戦略に向けた3段構えの経済対策」(平成22年9月10日閣議決定)に基づき、高卒就職ジョブサポーターの大幅増員による高校と連携したよりきめ細かな支援の実施、未就職卒業者を正規雇用へ向けて育成するため、有期で雇用(トライアル雇用)し、その後正規雇用へ移行させる事業主に奨励金を支給する「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」の創設など就職支援策の実施など、すべてのハローワークできめ細かく就職支援を実施していくとしています。特に①の高卒就職ジョブサポーターの大幅増員では、平成21年10月23日の緊急雇用対策以前は474人であった高卒就職ジョブサポーターは532人(平成21年10月23日の緊急雇用対策)、779人(平成21年12月8日の緊急雇用対策)さらに平成22年9月10日以降はさらに人数を倍増することが示されており、実効性が期待されるところです。
関連blog記事
2010年9月30日「9月24日に創設された2つの既卒者採用のための奨励金制度」
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2009年12月8日「[速報]新緊急経済対策における雇用対策の概要」
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2009年11月6日「高校新卒者の就職内定状況が極端に悪化し、9月末の内定率は37.6%に急減」
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2009年10月24日「鳩山政権初の緊急雇用対策が発表に」
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参考リンク
厚生労働省「平成22年度高校・中学新卒者の求人・求職状況(平成22年7月末現在)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ryxr.html
(中島敏雄)
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