[ワンポイント講座]3歳まで育児休業を取得した際の年次有給休暇の取扱い

 大企業を中心として子育て支援を図ることを目的に、育児休業期間を法定よりも長い期間(子が3歳になるまで育児休業を取得できるようにしているケースなど)設定しているような例があります。その際、長期間育児休業を取得していた社員が復帰し、その後、年次有給休暇を付与するタイミングが到来した際に、全労働日の8割という出勤率をどのように計算するのか対応に困ることがあります。そこで今回のワンポイント講座では、3歳まで育児休業を取得した際の年休の取扱いについて取り上げましょう。


 そもそも年休の発生要件については労働基準法第39条にその取扱いが定められており、基準日の前日から1年(最初は雇入れの日から6ヶ月)の期間を対象として、全労働日の8割以上出勤した場合に年休を付与するになっています。計算式で表すと、以下のようになります。


出勤率=就労した日数÷労働日数


 分母の労働日数とは所定労働日数のことで、その期間(6ヶ月または1年)の暦日数から所定休日数を除いたものになります。次に、就労した日数とは労働日において実際に出勤した日のことであり、休日労働した日については分母・分子ともに日数にカウントしないことに注意が必要です。また実際に出勤していない日であっても以下に該当する期間については、出勤したとみなすという特例が労働基準法第39条第8項に定められています。
業務上の負傷・疾病による療養のために休業した期間
育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業または同条第2号に規定する介護休業をした者
産前産後の休業期間
年次有給休暇を取得した日


 それでは3歳まで育児休業を取得した者について、出勤率をどのように計算すればよいのでしょうか?上記のとおり、出勤したとみなすことになっている特例期間は、育児・介護休業法に基づく育児休業のみであり、具体的には子が1歳(保育所がみつからない等の特別の事情がある場合は1歳6ヶ月)までの期間となります。そのため、会社としては、3歳まで育児休業を取得した場合は、少なくとも1歳(もしくは1歳6ヶ月)までの期間については出勤したものをして取扱い、それ以降の期間については労使で取扱いを決めておく必要があります。しかし、1歳(もしくは1歳6ヶ月)以降の期間を欠勤として取り扱うとした場合、職場復帰後に年休の残日数がゼロになることがあります。そのため、会社としては育児休業期間中に時効となった年休を特別に認めるといった配慮をすることが望まれます。


[関連法規]
労働基準法 第39条第8項(年次有給休暇) 
 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。



関連blog記事
2010年10月6日「[ワンポイント講座]産業医の職務とその役割」
https://roumu.com
/archives/51786824.html

2010年9月28日「[ワンポイント講座]労働基準法など今年改正された各法律の猶予措置の対象範囲」
https://roumu.com
/archives/51784460.html

2010年8月4日「[ワンポイント講座]業種の異なる事業所が複数ある場合の安全衛生管理体制」
https://roumu.com
/archives/51767736.html


(福間みゆき)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。


当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。