厚労省研究会 65歳への定年引上げを盛り込んだ報告書を提出へ

厚労省研究会 65歳への定年引上げを盛り込んだ報告書を提出へ 今週の月曜日、厚生労働省において「第4回 今後の高年齢者雇用に関する研究会」が開催され、定年を60歳から65歳に引き上げる提言を盛り込んだ報告書の素案がまとめられました。この研究会は慶応の清家先生が座長を務め、6月にも報告書がまとめられる予定となっていますが、平成25(2013)年度からの老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げを踏まえ、60歳以降の雇用のあり方について議論が行われています。

 今回の第4回研究会では、最大の論点である希望者全員の65歳までの雇用確保について、以下のように原則は定年引上げという提言がなされています。

  • 希望者全員の65歳までの雇用確保のための方策としては、まず、現行60歳である法定定年年齢を引き上げる方法について検討すべきではないか。また、それができない場合であっても、少なくとも法定定年年齢を60歳としたままで希望者全員についての65歳までの継続雇用を確保する方法を考えるべきではないか。
  • 法定定年年齢の引上げについては、①老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の65歳への引上げ完了を機に、法定定年年齢を65歳まで引き上げるという方法や、②定年年齢を老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げに合わせて65歳まで段階的に引き上げるという方法があるのではないか。
  • 法定定年年齢の引上げを行わず、希望者全員の65歳までの継続雇用を確保することとする場合には、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る現行の基準制度を廃止する必要があるのではないか。

 厚生労働省は早ければ来年の国会に高年齢者雇用安定法の改正案を提出し、2013年度の施行を予定しているようですが、定年延長は人件費の増加という直接的な問題だけでなく、若年者の雇用に大きな悪影響が出る可能性もあることから、今後の議論の行方を見守りたいところであります。


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2011年3月30日「継続雇用制度の労使協定がない事業所における定年退職者の雇用保険離職理由は事業主都合扱いに」
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2010年12月17日「平成23年3月31日で終了する定年後の継続雇用制度の対象者基準に係る特例」
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2009年10月29日「増加する高年齢者の常用労働者数 今後は70歳までの雇用が焦点に」
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参考リンク
厚生労働省「第4回今後の高年齢者雇用に関する研究会 議事次第」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001bmon.html

(大津章敬)

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