特定避難勧奨地点設定に伴い、拡大される雇用保険の特例措置と雇用調整助成金
東日本大震災から4ヶ月経過しようとしていますが、東京電力福島第一原子力発電所の問題から、なかなか事態の収束が見えない状況となっています。こうした状況の中、今般、原発の影響がある地域として、計画的避難区域及び警戒区域の外であって、事故発生後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される特定の地点については「特定避難勧奨地点」として特定されることとなりました。
これを受けて7月1日、これまで行われていた計画的避難区域等に関する雇用保険の特例措置および雇用調整助成金等の特例が、特定避難勧奨地点についても拡大されるという通達が発出されました。以下ではその内容について取り上げましょう。
雇用保険の特例措置について
「特定避難勧奨地点」に所在する事業所が、「事業を休止し、又は廃止したことにより休業するに至り、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、就労することができず、かつ、賃金を受けることができない状態にあるとき」は、同法第25条に基づく雇用保険の特例措置の適用を受けることとなる。
雇用調整助成金等について
「特定避難勧奨地点」については、「政府として一律に避難を指示したり、産業活動を規制すべき状況にはない」とされていることから、経済上の理由により事業活動が縮小し休業等を実施した場合等、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件を満たす事業所については、同助成金の助成対象となる。
なお、適用できる地域については、厚生労働省から図表(画像はクリックして拡大)のようにまとめられています。周知や説明は別途行われるかと思いますが、適用できる地域に関しては注目しておきたいものです。
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参考リンク
厚生労働省「東京電力福島第一原子力発電所の影響を踏まえた「激甚災害法の雇用保険の特例措置」及び「雇用調整助成金」の取扱いについて」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001hlhi-att/2r9852000001hlj6.pdf
(宮武貴美)
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