中国人事管理の先を読む!第3回「賞与相場と支給額の決定」

 毎年12月になりますと小社にも、賞与の相場に関する企業からの問い合わせが増えてまいります。「他社はどのくらいの賞与を支給するのか?」。他の企業がどのくらいの賞与を払うのか、管理者としてはとても気になるところです。年1回賞与を支給している企業と年2回支給している企業、或いは製造業と販売・サービス業とでは賞与支給月数の水準は異なりますが、多くの企業が業績を回復してきたこともあり、春節前のみ支給している製造業の賞与相場は2.2ヶ月~2.8ヶ月が平均支給額と思われます。

 昇給は物価上昇や政府の政策が大きく影響するため、昇給率を決定する際に世間相場は非常に重要な指針となりますが、賞与は企業個々の業績に左右されるものであり、必ずしも相場どおりにはいかないものでもあります。賞与の総額原資を決定する場合も、企業の業績指標を用いて決定していくのが一般的であり、指標としては「売上」「営業利益」の2つが使われ、それを「事業計画」と「前年対比」の2つの計画と比較して係数を使い、賞与月数を決めていきます。例えば掛け合わせた係数が1.1の場合は、全社員給与の2ヶ月分を原資にする等々。

 企業業績に合わせて総額原資を決めた後、それを社員にどのように配分していくかということも重要なポイントとなります。この配分に関しては社員の人事考課を用います。しかし、A評価だったから賞与を1.5ヶ月というように考課と支給月数とを紐付けしてしまうと賞与原資がコントロールできなくなり、考課が低い社員であっても給与水準が高ければ賞与が多くもらえる等の不具合が出、それを補い賞与原資の中に収めるためには、考課や支給月数を調整しなければならないという方法を使わざるを得なくなります。

 制度的合理性を考え、限られた賞与原資を考課結果に応じて配分していくためには、「考課ポイント制」を用いて社員個々の考課ポイントを決め、その考課ポイントに賞与原資から割り出したポイント単価を乗じ、賞与額を決定していく方法を使ってみて下さい。考課ポイントを使う場合には社員の役割責任(通常は等級を用います)と考課レベル(S、A、B・・・等)とのマトリクスを作り、表の中にポイントを埋め込んでいきます。社員の考課が決定したら、等級と考課に合わせて個々のポイントを決めていきます。原資を全ポイント数で割り、ポイント単価を出した後、社員の考課ポイントに掛け戻すという方法を行っていけば、考課を反映し、原資の中にも収まる賞与の決定が可能となります。

(2011年1月4日 Bizpresso掲載記事)

[執筆者プロフィール]
清原学
株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
海外人事労務チーム シニアコンサルタント(中国担当)
 1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー
・ジェトロ上海センター 人事労務委託業務契約
・財団法人 社会経済生産性本部コンサルティング部 経営コンサルタント
・兵庫県中国ビジネスアドバイザー
・神戸学院大学 東アジア産業経済センター アドバイザー


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参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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