平成24年度から多くの業種で引き下げが見込まれる労災保険料率

平成24年度から多くの業種で引き下げが見込まれる労災保険料率 2011年11月3日のブログ記事「労災保険において進められている業種区分見直しの検討」でも少し触れましたが、労災保険率は3年に1回見直しが行なわれており、平成24年は見直しが行われる年に当たります。この見直しに関し、一昨日、厚生労働省から「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問したという発表がありました。今回の諮問では、大きく分けて以下の4点が改正案に盛り込まれています。
労災保険率の改正
労務比率の改正
メリット制の改正
特別加入保険料率の改正

 以下ではこの中でも実務的に特に影響の大きな1.と3.について詳しく取り上げておきましょう。

[労災保険率の改正]
 労災保険率は、厚生労働大臣が55の業種ごとに定め、過去3年間の災害発生率などを元に、原則3年ごとに改定しています。この料率について、平均で1,000分の5.4であったものを平成24年4月1日から1,000分の4.8へと、1,000分の6引き下げることとしています。35業種が引き下げ、12業種が据え置き、8業種が引き上げとされており、この結果、最低の労災保険率となる業種は、金融業、保険業等で1,000分の2.5、一方最高の労災保険率となる業種はトンネル新設事業などの1,000分の89の予定となっています。改正案が成立すると、平成元年度以降で最低の労災保険率となります。

[メリット制の改正]
 労災保険には、個々の事業場の災害発生率に応じて労災保険料を-40%~+40%の幅で増減するメリット制が設けられています。これは、同一の業種でも事業主の災害防止努力などによって災害発生率に差があるためで、保険料負担の公平性の確保や事業主による災害防止努力を一層促進する観点から設けられた制度です。今回の改正案では、建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料の額を、現行の100万円以上から40万円以上に緩和することで、適用対象を拡大をすることが予定されています。

 改正案については、平成24年4月1日施行で進められており、今後の改正案の動向に注目しておきたいところです。


関連blog記事
2011年11月3日「労災保険において進められている業種区分見直しの検討」
https://roumu.com
/archives/51884640.html

2011年6月21日「ダウンロードで対応できるようになった労災保険給付関係OCR帳票」
https://roumu.com
/archives/51854825.html

2011年4月22日「大きく変わる労災保険の特別加入手続き」
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/archives/51841350.html

2011年6月28日「セクハラによる労災認定 基準見直しの方向性」
https://roumu.com
/archives/51856724.html

参考リンク
厚生労働省「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会に諮問」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001x055.html

(宮武貴美

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