育児休業取得率の高まりと同時に増加する労使トラブル

育児休業取得率 改正育児・介護休業法の全面施行まで1ヶ月を切りました。7月1日以降、従業員数100名以下の企業に関しても育児短時間勤務導入などの規程改正等の対応が必要になりますが、これに関連して先日、厚生労働省から「平成23年度男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談、紛争解決の援助及び是正指導の状況まとめ」(以下、「まとめ」という)が発表されました。

 平成24年4月で育児・介護休業法が施行から20年を経過したことから、今回のまとめの中では事業所での規定整備率、男女の育児休業取得率の推移についても取り上げられています。これによれば女性の育児休業取得率は、平成8年に49.1%であったものが、平成23年には87.8%と著しい上昇をみせ、育児休業制度の定着が進んでいることがよくわかります。また、なかなか取得率が高まらず、厚生労働省も広報に力を入れてきた男性の育児休業取得率は平成23年は2.63%となり、ゆるやかな伸びながらも、初めて2%台に到達し、過去最高となっています。

 一方で、育児・介護休業法に関する雇用均等室への相談も多くなっており、平成23年は全体の件数としては、改正育児・介護休業法が施行された昨年よりは減少したものの、労働者からの相談については10,415件と、前年度(10,193件)と比較しても増加しています。労働者からの相談内容では、育児関係では育児休業に係る不利益取扱いが1,444件と前年度に引き続き最多、次いで育児休業(期間雇用者の育児休業を除く)1,217件が多くなっています。

 改正育児・介護休業法が全面施行となり、育児休業の取得率が上昇することで、労使トラブルがさらに増加することが予想されます。実態を想定した規程整備を含めた対応が求められています。


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参考リンク
厚生労働省「平成23年度男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談、紛争解決の援助及び是正指導の状況まとめ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002bvc9.html

(宮武貴美)

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