[改正派遣法(4)]1年以上の有期雇用派遣労働者は無期雇用への転換推進措置が努力義務に
改正労働者派遣法特集の4回目である本日からは、派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善をテーマに取り上げていきます。今回の改正では、派遣労働者の保護が強化された内容になっていますが、この保護の内容には、派遣元事業主が派遣労働者について有期契約から無期契約に転換する努力義務を課すことで雇用の安定等を図ろうとするものです。
[求められる努力義務の内容]
派遣元事業主に対し、一定の有期雇用派遣労働者等について、無期雇用への転換推進措置を努力義務化しました。
■一定の有期雇用派遣労働者
一定の有期雇用派遣労働者とは厚生労働省令で以下のように定められる予定です。
1.派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である期間を定めて雇用する派遣労働者
2.派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者
■無期雇用への転換推進措置の具体的内容
無期雇用への転換推進措置として、以下の3つがあり、このいずれかの措置を講ずることが努力義務とされています。
1.期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保し、または派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供すること
2. 派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合にあっては、有期雇用派遣労働者等を紹介予定派遣の対象とし、または紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れること
3.有期雇用派遣労働者等を対象とした期間を定めないで雇用される労働者への転換のための教育訓練その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進するための措置を講ずること
この他にも、均衡を考慮した待遇を確保することを派遣元事業主に対する配慮義務としています。具体的には、派遣元事業主が派遣労働者の賃金決定に当たっては、同種の業務に従事する【派遣先】の労働者との賃金水準との均衡を考慮しつつ、賃金決定を行うように配慮しなければならないとしています。また、教育訓練や福利厚生についても同種の業務に従事する【派遣先】の労働者との均衡を考慮することを求めています。
これはあくまでも努力義務・配慮義務の範囲ではありますが、派遣元事業主は、今後、派遣先の労働者の労働条件も勘案する必要が出てきています。
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参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/
(宮武貴美)
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