労政審報告書骨子案に見るフレックスタイム制規制緩和の方向性

フレックスタイム制規制緩和の方向性 今週は、先週金曜日に開催された第122回労働政策審議会労働条件分科会において公表された「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)」の中から、2016年4月に予定される労働時間法制改革の方向性についてお伝えしています。昨日は年次有給休暇の取得義務化という規制強化の事項について取り上げましたが、本日はフレックスタイム制の見直しという規制緩和の事項について、その方向性を解説します。


労働時間法制報告書骨子案短期連載の過去記事もご覧ください
2015年1月20日「労政審報告書骨子案に見る年次有給休暇取得義務化の方向性」
https://roumu.com
/archives/52062500.html

2015年1月19日「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」
https://roumu.com
/archives/52062485.html

2015年1月18日「注目の労働時間法制改革の報告書骨子案が公開されました」
https://roumu.com
/archives/52062331.html


 そもそも今回のフレックスタイム制の見直しは、子育てや介護、自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ、メリハリのある働き方を促進することを目的としています。それが故に、以下のように制度を利便性を高めるような改正内容となっています。
清算期間の上限の延長
・フレックスタイム制により、一層柔軟でメリハリをつけた働き方が可能となるよう、清算期間の上限を現行の1か月から3か月に延長する。
・清算期間が1か月を超え3か月以内の場合、対象労働者の過重労働防止等の観点から、清算期間内の1か月ごとに1週平均(又は1月)●時間を超えた労働時間については、当該月における割増賃金の支払い対象とする。
・清算期間が1か月を超え3か月以内の場合に限り、フレックスタイム制に係る労使協定の届出を要することとする。
完全週休2日制の下での法定労働時間の計算方法
・完全週休2日制の下では、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を法定労働時間の総枠にできるようにする。
フレックスタイム制の制度趣旨に即した運用の徹底等
・通達において、フレックスタイム制が始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ね、仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能にするものであるという制度趣旨を改めて示し、使用者が各日の始業・終業時刻を画一的に特定するような運用は認められないことを徹底する。
・フレックスタイム制における「決められた労働時間より早く仕事を終えた場合も、年次有給休暇を活用し、報酬を減らすことなく働くことができる仕組み」については、年次有給休暇の趣旨に照らして慎重に考えるべき等の意見が労使双方から示されたことを踏まえ、引き続き慎重に検討を行う。

 フレックスタイム制は従来、清算期間が1か月以内とされていたことから、月を跨ぐ業務の繁閑に対応できないといった課題がありましたが、今回の改正により3か月まで清算期間が延長されることで、使いやすい制度となるでしょう。とは言え、極端な勤務が発生してしまうような危険性も高まることから、実際に導入を行う際には実務上の課題を十分に検討することが求められるでしょう。


関連blog記事
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2015年1月19日「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」
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2015年1月18日「注目の労働時間法制改革の報告書骨子案が公開されました」
https://roumu.com
/archives/52062331.html

2014年11月14日「年次有給休暇 取得義務化の場合の「一定日数」の水準はどうなるか?」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/41275450.html
2014年10月3日「内閣府が目論む来年9月の9連休と年次有給休暇の取得促進」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/40478549.html

参考リンク
厚生労働省「第122回労働政策審議会労働条件分科会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000071225.html

(大津章敬)

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