4月1日より改正された育児休業給付制度について教えてください

 前回の訪問時(2010年4月5日のブログ記事「平成22年6月30日に施行される改正育児介護休業法のポイントを教えて下さい(4)」参照)には、改正育児介護休業法について解説をしたが、これに関連する事項として雇用保険の育児休業給付制度も改正されている。そこで今回、大熊は育児休業給付制度について解説するために、服部印刷を訪問することとした。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。ようやく新入社員の研修が終わり、今日から配属となりました。
大熊社労士:
 そうですか。新入社員が入ると雰囲気が変わり、気持ちが引き締められますね。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。その新入社員へのオリエンテーションの中で私が社内の制度についてレクチャーを行ったのですが、取扱いや社内書式が変わっており規程の見直しをしておかなければいけないと感じました。
大熊社労士:
 そうでしたか。それでは今後、その見直しを進めていきましょう。さて、前回までは改正育児休業法についてお話しましたが、今日はそれに関連して育児休業給付制度について解説しておこうと思います。従来の育児休業給付制度では、育児休業期間中に休業開始時賃金月額の30%を支給する「育児休業基本給付金」、復帰して6ヶ月間被保険者として雇用されていた場合に休業開始時賃金月額の20%を支給する「育児休業者職場復帰給付金」がありましたが、4月1日よりこの2つの給付金が統合され、今後は「育児休業給付金」が支給されることとなります。
宮田部長:
 育児休業者職場復帰給付金が廃止されて、休業期間中に手厚く給付が受けられるということですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そのとおりです。ただし、対象は平成22年4月1日以降に育児休業を開始した被保険者からとなります。そのため、平成22年3月31日以前に既に育児休業を取得している者については旧制度が適用され、育児休業基本給付金および育児休業者職場復帰給付金が支給されます。
福島さん:
 育児休業給付金の給付率は従来の30%と20%と足した50%となるのでしょうか?
大熊社労士:
 給付率の引き上げは平成22年3月31日までとされていましたが、当分の間、延長となりましたので、育児休業給付金は休業開始時賃金月額の50%となります。併せて、6月30日以降についてはパパ・ママ育休プラス制度により休業している期間についても育児休業給付を受けることができます。
福島照美福島さん:
 パパ・ママ育休プラス制度とは、両親ともに育児休業を取得する場合に1歳2ヶ月まで休業できるという制度のことですね。
大熊社労士:
 そのとおりです。ただし、育児休業給付金を受けるためには、以下のすべてに該当している必要があります。
育児休業開始日が、1歳に達する日の翌日以前である場合
育児休業開始日が、配偶者※が取得している育児休業期間の初日以後である場合
配偶者※が当該子の1歳に達する日以前に育児休業を取得していること
※事実上婚姻関係と同様の事情にある該当者を含む。
 ちなみに、給付についてもパパ・ママ育休プラスの休業期間と同様に上限があり、父の場合は1年間、母の場合は出産日と産後休業期間、育児休業給付期間を受給できる期間を合わせて1年間となります。
福島さん:
 育児介護休業法の改正と併せて、育児休業給付制度も変更になるのですね。
大熊社労士:
 詳細については、今後明らかになるようです。育児休業制度が変更になることと併せて、給付制度についても従業員へ事前に知らせておくと、従業員からの問い合わせも少なくなり、安心して育児休業を取得してもらうことができますね。
宮田部長:
 そうですね。社員説明会に併せてアナウンスしておくとよいですね。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は育児休業給付制度について取り上げましたが、ここで平成22年4月1日より雇用保険制度が改正され、短時間労働者の雇用保険の適用範囲拡大について補足しておきましょう。具体的には、従来、短時間労働者において1週間の所定労働時間が20時間以上あり、かつ「6ヶ月以上の雇用見込み」がある場合に雇用保険に加入する必要がありましたが、4月より「31日以上の雇用見込み」がある場合に加入することになりました。ちなみに、この「31日以上の雇用見込み」とは勤務実態をみて判断することになっているため、雇用契約期間が31日未満であっても更新を行い31日以上の雇用が継続される場合は、雇入れ時から雇用保険に加入する必要があります。今回の法改正は厳しい雇用失業情勢を踏まえ、非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化等を目的としているため、会社としては適正に雇用保険への加入手続きを行うことが求められています。



関連blog記事
2010年4月5日「6月30日に施行される改正育児介護休業法のポイントを教えて下さい(4)」
https://roumu.com/archives/65243534.html
2010年3月29日「6月30日に施行される改正育児介護休業法のポイントを教えて下さい(3)」
https://roumu.com/archives/65241319.html
2010年3月1日「6月30日に施行される改正育児介護休業法のポイントを教えて下さい(2)」
https://roumu.com/archives/65220912.html
2010年2月1日「平成22年6月30日に施行される改正育児介護休業法のポイントを教えて下さい(1)」
https://roumu.com/archives/65199603.html
2010年3月18日「4月1日に施行される育児・介護休業法に基づく紛争解決制度」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51708408.html
2010年3月8日「4月14日に名古屋で改正育児・介護休業法対策セミナーを開催」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51706017.html
2010年3月5日「厚生労働省から「改正育児・介護休業法に関するQ&A」が公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51703762.html
2010年2月19日「改正法対応の育児・介護休業規程 ダウンロードを開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51698802.html
2010年2月5日「厚生労働省より公開された改正育児・介護休業等に関する規則の規定例」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51692789.html


(福間みゆき)


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